レパートリーシアターKAZE2012 ラインナップ 劇団創立25周年記念

第79回公演【レパートリー作品】

戦場のような女 あるいはボスニア紛争の戦場のような女の性について
LA FEMME COMME CHAMP DE BATAILLE  ou Du sexe de la femme comme champ de bataille dans la guerre en Bosnie

1月26日[木]~30日[月]開演:平日7時/土日2時

作:マテイ・ヴィスニユック Matéi Visniec 訳:川口覚子
演出:江原早哉香 舞台美術:高田一郎 作曲:八幡茂
照明:フランソワ・シャファン FranÇois Chaffin
衣裳:ズザンナ・ピョントコフスカ Zuzanna Piątkowska
音響:渡辺雄亮 照明オペレータ:坂野貢也 舞台監督:長谷川敬久
演出協力:佐藤薫 企画制作:佐藤春江
出演:柴崎美納/工藤順子 ほか 
著作権代理:(株)フランス著作権事務所


アメリカ人のケイトはボスニア紛争の死体置場の発掘に参加、今はドイツのNATO医療センターの精神科医として、敵対する民族間のレイプ被害者ドラの治療を行っている。 女ふたりの全世界に向けられた言葉が、民族紛争、そして戦場と化した人間の根源を浮かび上がらせていく。 作家ヴィスニユック本人から「私の作品世界をもっともよく反映させてくれた上演」と言われた風のレパートリー。演出は前回、芸術監督浅野佳成と共同演出した江原早哉香が務める。

後援:在日フランス大使館/在日ルーマニア大使館 在日フランス大使館

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肝っ玉おっ母とその子供たち―あとから生まれてくる人たちに Mutter Courage und ihre Kinder

3月10日[土]~11日[日]開演:2時

7月22日[日]~24日[火]開演:平日7時/土日2時

作:ベルトルト・ブレヒト Bertolt Brecht 翻訳:岩淵達治
脚本・演出:浅野佳成 作曲・音楽制作:八幡茂 演出助手:江原早哉香/南雲史成
舞台美術・衣裳:アンジェイ・ピョントコフスキ Andrzej Piątokwski
照明:坂野貢也 音響:渡辺雄亮 照明オペレータ:森本晃将
音響オペレータ:酒見篤志 舞台監督:佐田剛久
企画制作:佐藤春江

出演:辻由美子/柳瀬太一/稲葉礼恵/工藤順子/田中悟/中村滋
柴崎美納/仲村三千代/栗山友彦/佐野準/車宗洸/白石圭司


第二次世界大戦が勃発した1939年、ブレヒトが亡命中に執筆した問題作。戦争によって街を奪われた人たち、そしてそこにあった生活をも奪われた人たちが〈あとから生まれてくる人たち〉に歌う〈自由と受難の劇〉。
17世紀のヨーロッパで起きた宗教戦争(三十年戦争)のさなか、幌馬車に商品を積んで軍隊を追いながら「戦争」で生計を立てている肝っ玉おっ母は、その代償としてひとり、またひとりと子どもを失う。しかし彼女は軍隊を追って、ひとり幌馬車を曳く……。

[レパートリーシアターKAZE春の劇場体験週間 3月7日~9日]

2005年から毎年、近隣の中学生に向けて[春の劇場体験週間]を実施しています。中学生が劇場を訪れて観劇し、終演後には舞台裏見学を行います。また、演出家や出演者との座談会やワークショップを行うなど、「人が創意工夫する面白さ」や「人の手によってつくられる場」の面白さを肌で感じ、そこからひとつの経験を生み出すことができる、拠点小劇場ならではの企画です。

[東日本地域巡回公演5月~7月]

『肝っ玉おっ母とその子供たち』は、レパートリーシアターKAZEのオープニング記念公演として1999年に初演。その後、拠点劇場での上演を重ね、代表的レパートリー作品となりました。
2006年からは終幕に“あとから生まれてくる人たちに―”という詩の朗読を加え、全国巡演レパートリーとして高校生・中学生を対象とした上演を行っています。
今年は5月~7月まで東北・関東・甲信越で巡回公演を行い、拠点劇場に戻って[凱旋公演]として上演します。

助  成: 文化芸術振興費補助金
(トップレベルの舞台芸術創造事業)
文化芸術振興費補助金
後  援: ドイツ連邦共和国大使館/中野区 ドイツ連邦共和国大使館

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第80回公演【新 作】

セチュアンの善人 Der gute Mensch von Sezuan

3月27日[火]~31日[土]開演:平日7時/土2時

作:ベルトルト・ブレヒト Bertolt Brecht 翻訳:岩淵達治
脚本:浅野佳成
音楽:パウル・デッサウ Paul Dessau © SUHRKAMP VERLAG
編曲・音楽制作:八幡茂 舞台美術:高田一郎
衣裳:ズザンナ・ピョントコフスカ Zuzanna Piątokwska
照明:塚本悟 音響:渡辺雄亮
舞台美術助手:佐田剛久 照明オペレータ:坂野貢也
舞台監督:長谷川敬久 舞台監督助手:南雲史成
演出助手:江原早哉香 製作:佐藤春江
歌唱指導:八幡光子  演出協力:佐藤薫

出演:渋谷愛/栗山友彦/柳瀬太一/緒方一則/白根有子
佐藤勇太/保角淳子/柴崎美納/田中悟/田中賢一
佐野準/中村滋/車宗洸/白石圭司/木村奈津子
稲葉礼恵/仲村三千代/清水菜穂子/工藤順子
坂牧明/酒井宗親/辻由美子
オリビエ・コント Olivier Comte
ニコラ・ビルダー Nicolas Bilder
エリック・ベンヤミン Eric Benyamine
(Les Souffleurs commandos poétiques)


KAZEは、エンタテインメント重視に陥りがちな舞台=劇場の在り方に対し、いま一度、私たちにとって「演劇」「舞台と客席」とは何かを問い直す試みとして、レパートーリーシステムをスタートさせ、20世紀を代表する亡命作家ブレヒト作品の上演に創作の力を注いできた。
今回いよいよ芸術監督 浅野佳成の演出、劇団の俳優総出演、さらにフランスの俳優オリビエ・コントと街頭詩劇“スーフルール・コマンド・ポエティック”のメンバーを招聘し、衣裳はポーランドの美術家ズザンナ・ピョントコフスカが担当して、KAZEのブレヒト新作に取り組む。
人々はどのような時代にあっても生きていかなければならない。時代の逆境、人生の苦境に曝されてなお「人間らしく生きる」とは何か……。中国を舞台にした社会風刺劇『セチュアンの善人』、ご期待ください!


善人であり しかも生きよ―
「ひとりでも人間らしく生きている善良な人間がいる限り、この世は今のままでよい」という神さま会議の決議に基づいて、三人の神さまが善人を探しに下界に降りてくる。
通りすがりのセチュアンの町で、一夜の宿を探すなか、唯一の善人、娼婦シェン・テに出会う。
しかし我々の世界では、善良な人間は、善良なままでは生きられない。「善人のままで生きていろ」という神さまの掟は、稲妻のようにシェン・テを真っ二つに引き裂いた。
シェン・テは利己的な人々から身を守るため、情け知らずで貪欲な従兄シュイ・タの個性を身につけて生きていくが……。

助  成: 文化芸術振興費補助金
(トップレベルの舞台芸術創造事業)
文化芸術振興費補助金
協  賛: SHISEIDO SHISEIDO
後  援: ドイツ連邦共和国大使館 ドイツ連邦共和国大使館
在日フランス大使館 在日フランス大使館
認  定: [社]企業メセナ協議会 [社]企業メセナ協議会

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レパートリーシアターKAZE 特設ギャラリー

5月26日[土]~6月1日[金]

寺澤正・水野統夫 詩画展
連詩「生きると死ぬ」
建築家 水野統夫の仕事


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《ビエンナーレKAZE国際演劇祭2012》日程変更のお知らせ

《ビエンナーレKAZE国際演劇祭2012》について、一部日程変更がございますのでお知らせさせていただきます。
急なことですが、「起・承・転・結 そして歴史へ―」の“結”として予定しておりました『年老いたクラウン』の上演を、オリビエ・コント急病のため中止することにいたしました。
ビエンナーレKAZE国際演劇祭2012は、「起・承・転・結 そして歴史へ―」のテーマのままに、
“結 Conclusion”“そして歴史へ―and history”のふたつを『ジャンヌ・ダルク』にゆだね、4作品の上演で実施いたします。急な変更となり、ご来場を予定いただいていた皆様には大変ご迷惑をおかけしますが、ご了承ください。
オリビエ・コントは、医師の指示によりしばらく俳優の仕事をお休みし、来年1月に予定している『セチュアンの善人』公演に間に合うよう、治療に専念したいと申しています。

ビエンナーレKAZE国際演劇祭、劇団創立以来25年の力を注ぎ、観客の皆さんと私たちの「いま」を見つめたいと考えています。
皆様のご来場を、心よりお待ちしています。
*『マハゴニー市の興亡』『異邦人』『プロテウス』『ジャンヌ・ダルク』公演の日程、開演時間の変更はございません。

第5回ビエンナーレKAZE国際演劇祭2012 起・承・転・結 そして歴史へ ―Introduction, Development, Turn, Conclusion  and History ―

8月3日[金]~9月17日[月・祝]

今回で5回目を迎えるビエンナーレKAZE国際演劇祭は、“起・承・転・結 そして歴史へ― ”と銘打ち、5作品を上演します。観客とともに、いま、私たちの周りで何が起きているのか、〈そのこと〉〈そのもの〉そして本質を考えることを提案したいと企画しました。
 日本だけでなく世界中を震撼させた“3.11”大震災とそれに続く原発事故。しかしそれ以降の出来事を語るだけでは、私たちが私たち自身について語ったことにはならないのではないか。いまだからこそ、ここでもう一度、私たちの築いてきた文明、そして幸福感とその歴史を、観客を含めた私たち自身に対して問いかけたい。それがいつ起き、いつ引き継がれ、そして私たちはいつそれを転化し、そこから何を見いだすのか―。
 私のこのような呼びかけに対し、交流を続けてきた日・仏・モルドバ、3カ国の演劇人が共感し、協働によって開催します。
 まず〈起〉Introductionはブレヒトの大作『マハゴニー市の興亡』、〈承〉Developmentに南雲史成演出の新作としてアルベール・カミュの代表作『異邦人』、〈転〉Turnはフランソワ・シャファンの問題作『プロメテウス エレクトリック・ポエム』、〈結〉ConclusionにはKAZEのビエンナーレのために作家マテイ・ヴィスニユックが書き下ろし、オリビエ・コントが演じる『年老いたクラウン おまえの乳房のうえで調教したエスカルゴ』、そして最後に〈そして歴史へ〉and historyは、マテイ・ヴィスニユックがKAZEの巡回公演のために書き下ろし、イヨネスコ劇場のペトル・ヴトカレウと共同制作した『ジャンヌ・ダルク―ジャンヌと炎』を上演します。
 劇団創立25周年、私たちがこれまで培ってきた創造活動を海外の演劇人とともに大胆に実践し、自らの態度を示し、小劇場の在り方とその可能性を客席とともに探求したいと考えています。

東京演劇集団風 芸術監督 浅野佳成

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【レパートリー作品】

マハゴニー市の興亡 Aufstieg und Fall der Stadt MAHAGONNY

8月3日[金]~5日[日]開演:平日7時/土日2時

作:ベルトルト・ブレヒト Bertolt Brecht 翻訳:岩淵達治
構成・演出:浅野佳成 作曲:八幡茂
舞台美術・衣裳:アンジェイ・ピョントコフスキ Andrzej Piątokwski
照明:塚本悟 音響:実吉英一 舞台監督:長谷川敬久
振付:佐藤薫 映像:松元義則 演出助手:江原早哉香/南雲史成
舞台監督助手:佐田剛久 演出協力:中川晶一朗

出演:柳瀬太一/栗山友彦/中村滋/緒方一則/保角淳子/田中悟
酒井宗親/柴崎美納/渋谷愛/田中賢一/佐野準/佐藤勇太
白石圭司/車宗洸/木村奈津子/工藤順子/稲葉礼恵
清水菜穂子/仲村三千代/白根有子/坂牧明/辻由美子


悪徳に彩られた人工都市マハゴニーは、世界中の欲求不満の人々を惹きつけた。歓楽の街マハゴニーでは、金さえあれば何でも好きなことをやりたい放題やってもいい、金がないということが最大の罪である。ブレヒトによって資本主義社会を戯画化したこの作品は1930年、世界大恐慌の最中にドイツで初演された。 ブレヒトの代表作であり風の代表作である本作品をもって現在の私たち自身に問題を提起する。資本主義社会の物質的繁栄は、“マハゴニー”から起こった―。

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【新 作】

カミュの『異邦人』 L' Etranger

8月23日[木]~27日[月]開演:平日7時/土日2時

作:アルベール・カミュ Albert Camus 脚色:浅野佳成
演出:南雲史成
翻訳:窪田啓作/谷島貫太
作曲・音楽制作:バンジャマン・クルシエ Benjamin Coursier
演出協力(照明・舞台美術・音響・特殊効果):フランソワ・シャファン FranÇois Chaffin
舞台監督:長谷川敬久 舞台監督助手:佐田剛久/清水菜穂子
演出助手:江原早哉香/セリーヌ・リジェ Céline Liger

出演:中村滋/渋谷愛/栗山友彦/緒方一則/車宗洸
酒井宗親/坂牧明/白石圭司/田中賢一/佐藤勇太
柳瀬太一/仲村三千代/田中悟/工藤順子


著作権代理:㈱フランス著作権事務所


芸術監督 浅野佳成が、ガリマール出版のマサール女史の協力を得てカミュの遺族と交流し、脚色を手がけた。演出の南雲は、浅野の脚本をもとにフランソワ・シャファン(フランス在住)とともにオリジナルの映像や音楽を創作・駆使し、現代におけるカミュの『異邦人』の世界を創り出していく。
ムルソーは、養老院で母が死んだという通知に何の刺激も感じられないまま、葬儀の翌日には海水浴に行き、マリイと関係を結び、映画を見て笑い転げる。その後、友人のトラブルに巻き込まれてアラビア人を射殺してしまう。裁判にかけられ、犯行に及んだのは「太陽のせい」だと答え、斬首刑を宣告される。彼は、処刑の日に群衆が憎悪の叫び声を上げて迎えてくれることだけを願った。
不条理を見つめ、不条理に反抗したカミュの代表作を〈承〉Developmentとして、文明社会が人間の心の中に何をつくってしまったのかを提示する―。

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【日本初演】 マントゥール劇場

プロメテウス エレクトリック・ポエム Prométhée Poème Électrique

8月31日[金]~9月2日[日]開演:平日7時/土日2時

作・演出・舞台美術・照明:フランソワ・シャファン FranÇois Chaffin
作曲・音楽制作:バンジャマン・クルシエ Benjamin Coursier
音響:ドゥニ・マラール Denis Malard 映像:セリーヌ・リジェ Céline Liger
映像美術:ジュリアン・ドゥファイ Julien Defaye
制作:エロディ・クロ Elodie Couraud 舞台監督:長谷川敬久
演出助手:南雲史成 照明オペレータ:坂野貢也 音響オペレータ:渡辺雄亮

出演:フランソワ・シャファン FranÇois Chaffin
バンジャマン・クルシエ Benjamin Coursier


フランソワ・シャファンはフランスで「マントゥール劇場」を主宰する総合芸術家。KAZEの創造活動に数多く携わってきたが、今回、2011年にフランスで初演し、絶賛を博した“声とギターのために書かれたオラトリオ劇”で日本の観客との交流を図る。
アイスキュロスの『縛られたプロメテウス』をもとに、自分が与えた火を人間がどのように使っているのかを尋ねるために現代に戻ってきたプロメテウスを描く。「現代ほど、人間が火と光、知識と権力を混同したことはない……」と。利己的なテクノロジーにどっぷり浸かった我々の文明の転回点〈Turn〉として上演する。


作品の詳細(ダイジェスト映像)などはこちらからご覧いただけます。

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【レパートリー作品】東京演劇集団風+ウジェーヌ・イヨネスコ劇場の共同制作

ジャンヌ・ダルク―ジャンヌと炎 Jeanne d'Arc  JEANNE ET LE FEU

9月15日[土]~17日[月・祝]開演:2時

作:マテイ・ヴィスニユック Matéi Visniec 翻訳:志賀重仁
演出:浅野佳成
上演協力(脚色・人形美術・衣裳):ペトル・ヴトカレウ Petru Vutcãrãu
振付:佐藤薫 照明:坂野貢也 音響:渡辺雄亮 舞台監督:長谷川敬久
演出助手:江原早哉香/南雲史成 舞台監督助手:佐田剛久 ほか

出演:白根有子/栗山友彦/田中賢一/佐藤勇太/田中悟
佐野準/木村奈津子/仲村三千代/稲葉礼恵/車宗洸


著作権代理:㈱フランス著作権事務所


「声をあげる機会の少ない世界中の若い人たちに、ひとりの少女が起こした〈奇跡の物語〉を、そして声をあげることの重要性を知ってほしい」という願いのもと、マテイ・ヴィスニユックによって書き下ろされたレパートリー。
制御し権力を保持するための“神話”ではなく、人間の原初的な願いや希求が込められたひとりの少女=フランスを救ったにも拘わらず政治の犠牲となって火刑にされた伝説の乙女ジャンヌの生きる姿を受け止め、彼女の叫び、〈忘れ去られた歴史〉の声に耳を傾け、〈希望〉の在処を共有したい。

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