REPERTORY フランクフルトに恋人がいるサックス奏者が語るパンダの物語2007年 初演 ■海外公演■ 2008年 |
■レパートリー■
1人の男と1人の女がある朝、乱雑な寝室にある1つのベットで共に目覚める。2人の名前、いつどこで出会い、なぜ2人で朝を迎えることになったのか、すべては謎のまま。ただ唯一確かなことは、2人が交わす和解。9日間の夜をともに過ごすこと―
彼「誓うよ。9日間だけでいい……。」
彼女「さあ、これで取引成立。9日間、ここに帰ってくるわね。いい?9日間それまでよ!それから私にサックスを吹いてちょうだいね。」
姿のない隣人たち。鳴り続ける留守番電話。暗闇で光る生き物。
2人は運命と自由の彼岸を漂いながら9回の夜を繰り返す。無限の中に消え去る彼らの姿、そこには社会が見落としてきた、小さなものに宿る至福が暗示されているのではないだろうか。
ルーマニア出身、フランス在住の現代劇作家マテイ・ヴィスニユックは、ベケット、イヨネスコに続く作家として、現在最も注目を集めている作家です。
風は、彼の代表作として数えられるこの「パンダの物語」を2007年ビエンナーレKAZE演劇祭にて初演(浅野佳成 演出)。2009年に演出を南雲史成が引継ぎ、作者はじめ、交流を深めてきた海外のアーティストの協力を得て、モルドバ、ルーマニア、フランスでの海外公演を行いました。
「パンダの物語」の上演をきっかけに、風はマテイ作品と出会い、ブレヒト上演に継ぐ現代と社会への問題作として上演に取り組んでいます。
作:マテイ・ヴィスニユック
訳:川口覚子
演出:南雲史成
音楽:八幡茂
舞台美術・衣裳:
ズザンナ・ピョントコフスカ
照明:フランソワ・シャファン