彼が暮らす社会では、芝居をしないと
異邦人として扱われるよりほかはない―

「今日、ママンが死んだ……」。
養老院で亡くなった母の葬儀で、ムルソーは何の感情も示さなかった。
彼は友人のトラブルに巻き込まれて殺人を犯し、裁判にかけられ、斬首刑の宣告を受ける。当事者である自分を抜きにしたかのように進められる法廷で、ムルソーは殺人を犯したのは「太陽のせい」と答え、社会の異物として絞首台に送られる。
 
戦争のなかで不条理を見つめ、抗い、そこに踏みとどまることで、生きる希望を探求したカミュ。この作品は第二次世界大戦が激化する1942年に発表され、大きな反響を呼んだ彼の代表作です。風は2012年、小説『異邦人』から芸術監督 浅野佳成がオリジナルの脚本を作成し、カミュの遺族、フランス・ガリマール社の全面協力を受けて初演しました。
白石圭司が演出を担い、若き時代感覚で、カミュのまなざしから、“人間が生きることへの自由と希望”を問う作品です。

作:アルベール・カミュ 
脚本:浅野佳成
演出:白石圭司
翻訳:窪田啓作(新潮文庫刊)
    谷島貫太

【出演】
中村滋
渋谷愛/栗山友彦
緒方一則/車宗洸
田中賢一/坂牧明
酒井宗親

作曲・音楽制作:
バンジャマン・クルシエ
舞台監督:佐田剛久
照明:坂野貢也 
音響:渡辺雄亮 
衣裳:仲村三千代
演出助手:江原早哉香
協力:ガリマール出版社
サビーヌ・ペテルス
(カトリーヌ ・ カミュ代理人)
著作権代理:
㈱フランス著作権事務所
企画協力:新潮社