旅公演日記
旅公演日記2008秋
星の王子さま Le Petit Prince
作:サン=テグジュペリ●構成・演出:浅野佳成/北海道・東北地方
<キャスト> | |
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王子: | 白根有子 |
飛行士: | 緒方一則 |
ヘビ: | 酒井宗親 |
花: | 仲村三千代/渋谷愛 |
キツネ: | 工藤順子 |
星の住人: | 栗山友彦/鈴木亮平 |
バオバブ: | 車宗洸/磯矢拓麻 |
肝っ玉おっ母とその子供たち
作:ベルトルト・ブレヒト●演出:浅野佳成/九州・関東地方
<キャスト> | |
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肝っ玉: | 辻由美子 |
料理人: | 柳瀬太一 |
従軍牧師: | 中村滋/田中悟 |
イヴェット: | 渋谷愛/柴崎美納 |
アイリフ: | 佐野準/ 鈴木亮平(劇団 芋屋) |
スイスチーズ: | 栗山友彦/佐藤勇太 |
カトリン: | 稲葉礼恵/白根有子 |
徴兵係・書記ほか: | 白石圭司 |
曹長・兵士ほか: | 高橋征也(劇団 芋屋) |
Touch~孤独から愛へ
作:ライル・ケスラー●演出:浅野佳成/関東・東北・甲信越・関西・中国地方ほか
<キャスト> | |
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トリート: | 緒方一則 |
フィリップ: | 佐藤勇太 |
ハロルド: | 酒井宗親 |
今週は、九州ツアー始まって2週目に入りました。
2週目は、鹿児島→宮崎→熊本→宮崎→長崎と九州をそれこそ肝っ玉のように、縦断しました。
九州の公演には、僕が熊本出身ということもあるからか、独特なものを感じます。
もちろん、公演する全国の学校それぞれに違う反応があるのですが、九州の公演で僕が感じてる独特なものというのは、舞台と観客の関係ではないかと思います。
九州の学校の生徒は、舞台を観て感じたものを、ストレートに帰してくれることが多いです。だから、僕たち劇団のメンバーも、生徒達の反応で、様々なことを感じ、考えます。
新鮮な驚きや発見を、舞台と観客が共有する瞬間に触れることができます。
生徒達と何かを共有する瞬間に触れ、九州での『肝っ玉』でたくさんのものを、発見出来る旅公演にして行きたいと思います。
早いもので、12月を迎えた『肝っ玉』の九州ツアー。
12月一週目は佐世保から始まりましたが週の終わりには雪がちらついていました。
そして、この旅二回目の一般公演が12月6日に福岡で行われました。
色々な方が観に来てくれましたが、特に印象に残っているのが以前に学校公演で『肝っ玉』を観た生徒達が会場に足を運んでくれたことでした。
高校生もいれば、2年前の九州ツアーで観たという大学生もいました。
もちろん風の『肝っ玉』という作品に強い印象を受けていた彼等ですが、「2年前とはまた違った印象を受け、それもまた面白かった」という感想も聞こえました。
旅の中で常に創り続けているレパートリー…出会っていく若い観客達にとって十年後、あるいは数十年後にも感性を揺らす何かが宿っていっているのかもしれません。
この「Touch」の旅も終盤。
今週は一度東京に戻り、2日間の稽古を経ての公演に臨みました。
川口市立川口高校の公演。場所は川口市民会館。
当日は朝から演劇部の生徒さんたちが舞台の仕込み見学がありました。
また、その際に将来音響の仕事に就きたいという生徒と出会いました。彼に作業を一つ一つ説明しながら一緒に音響機材を設置していきました。彼は私の言葉や動きを食い入る様に見つめています。本番も音響オペレーターの隣で観劇。公演終了後の撤収作業(バラシ)も手伝ってもらいました。
彼にはこの体験がどんな形で残っているのでしょう。何かの足しになれたのでしょうか。
公演を終えると、いつもその日一日を省みます。
彼らと共に公演を創りあげられたのか、彼らの心に触れる事が出来たのか。
観劇したすべての人にメッセージが伝わったのか。
接する事が出来た生徒さん一人一人の表情を見ると、「今日も良い公演になったのかな」と改めて実感出来ます。
客席に力を貰いながら、また新しい客席に臨んでいく。そんなサイクルを楽しみながら、我々の姿勢を提示していけたら、と思っています。
来週は鳥取県での一般公演です。
はじめまして。
Touchの旅公演にスタッフで参加している磯矢と申します。
今日は、ちょっと趣向を変えて本番前、本番後などの裏方の話を紹介したいと思います。
全国の何百、何千という学校や会館を少ない人数の旅編成で公演しています。そのため、
搬入‐設営(準備)や撤去‐搬出(後片付け)のときなど、効率のよいように各自それぞれに役割があります。
簡単に説明すると
例えば設営ですと、みんなでトラックから舞台装置などを中に運び込んだあと、音響、照明、装置、小道具、衣裳などに別れて作業をします。
撤去のときはその作業の逆をする訳ですが、体育館公演のときは仮設の舞台を設営するための資材が多く、運び込んだ物の量も倍くらいになっています。
少し細かく紹介しますと
作業には「崩し」「送り」「運び」「積み込み」というのがあり
簡単に言うと、
物を分解する人、分解された物を順番に運び出すのを指示する人、指示された物を運ぶ人、運ばれた物をトラックに積み込む人、ですね。
生徒さんたちには主に「運び」を手伝ってもらったりしてます。
僕は「送り」の仕事をまかされています。
今旅中、体育館での公演のときに館内で「手のあいてる生徒さんはこっち手伝ってくださーい」なんてでかい声で運び物を頼みまくってる人がいたなら、それは恐らく私です(みんなどうもありがとう(T_T))。
その仕事でずっとね、考えていたことがあるのです。
例えば寒いなか、はたまた暑いなか、2時間くらい座って芝居に集中してくれた生徒さんが、終演後にとても積極的で、元気にお手伝いに参加してくれる姿です。
それも生半可な作業ではなく、大人でも大変な重量物だったり、身の丈を軽く越える大きな物を日の沈むまで運ぶ重労働ですよ。
そんなある日、
搬出が終わったあとにこんなお言葉を頂きました
「後片付け一緒に出来て、嬉しかったです。」
「舞台が出来ていく過程を見られて、わくわくしました。」
「役者さん以外にも、裏でこんなに支えている人がいるんですね。」
「将来芝居の世界で働きたくて、今日はいい経験になりました。」
ほかにもたくさんです。
嬉しい限りです。
学校公演は自分でお金を払って劇場に足を運ぶという演劇の世界とは違います。
生徒さんのために、生徒さんたちと一緒になって創る舞台です。
本番が終わって「あー楽しかった」、「さようなら」だけではなく
準備から後片付けまでの過程を通して、演劇に触れる機会も大切な経験となると思います。
こちらも、一緒に創ろうという気持ちで望むことが大切なのだ、ということが最近になってやっとわかってきた気がします。
というか生徒さんたちに教えてもらいました(^^ゞ。
その気持ちを忘れないで残りの公演も頑張っていきたいと思います。
手伝ってくれた先生方、生徒さん方、本当に本当にどうもありがとうございました。
今週は東京・福生市民会館での一般公演から、京都・大阪・山口県へと移動しての6ステージの公演でした。全国的な寒波の到来で、山口では初雪にも降られましたが、旅班一行は元気に各地を駆けめぐりました。寒い日の体育館公演は客席も大変ですが、みなさんとても熱中してくれ、心温まる公演となりました。
福生市での公演は小学生も親子でたくさん観に来てくれました。この芝居、二時間の上演時間で小学生には難しいのでは?という意見もあるなか、最後まで客席と共に芝居が創れたと感じられる舞台でした。終演後、きっと家にもどってから、お父さんやお母さんと今日の芝居のことについてたくさんの話が交わされたことでしょう。
演劇は一回性の生ものだといわれます。今の時代は大量の情報が様々なメディアを使って一瞬にして届けられる便利な社会です。しかし、そこでは伝わらないものが逆にはっきりしてきています。人が生きていくなかには、たくさんの経験と思い出があり、そのことを支えに自分自身や、今の世界について考えていく。その経験と思い出の場が、これからの社会では少しずつ削り取られていくような気がしています。
演劇の持つ可能性とは、直接的に時間と空間を共有して、感じ合えることのなかに生まれます。そして観劇後、家族や友だちとの間でたくさんの会話がおこってくることを私たちは期待しています。テーマやストーリーに先立つ演劇の面白さというものが、この一回性にたくさん秘められているのだと感じます。たぶんそれを伝えたくて、私たちは旅を続けているのでしょう。
旅公演もいよいよ終盤。
今週もたくさんの出会いがありました。たくさんの励ましの言葉も、生徒さんからいただきました。この思い出を大切に、明日からもみんなで頑張ります。
そして、子どもたちの心にこれから先『Touch』の思い出が蘇ってくることを楽しみにしています。
今ツアーの、超が付くほどハードな前半を終え、旅はゆるやかなコースの後半へとはいってきました。
とは言え、今週は体育館での公演が続きます。体育館での公演の時は、ほとんどの場合、生徒たちがバラシやトラックへの荷積みを手伝ってくれます、だからいろいろと話ができる機会が多くあります。
11月10日、福岡県/北九州高校。「来年もこの芝居でまた来てください!もう1度見たいです!」という声に思わず心もなごみます。
11日の熊本県/鹿本農業高校では、カーテンコールの際、生徒から「僕の育てた花です」と、シクラメンをプレゼントされたグリ(辻由美子:肝っ玉おっ母役)は、思わずこみ上げた泪をおさえるのに必死でした。
12日はとなりの鹿本商工高校。お互いが熱さ与えあうような公演でした。
13日は、中日祝いもかねて南阿蘇の地獄温泉で一休みです。明けて土曜日15日は熊本県/大津翔陽高校。積極的な生徒会の生徒たちが、まるで劇団員のように手伝ってくれて公演をつくりあげました。そして16日の日曜日、宮崎海洋高校での公演。ここも大津翔陽高校と同じく、文化祭の中での公演でした。
高校生たちは、『肝っ玉』をよく観てくれます。笑いながら、驚きの悲鳴をあげながら、そして楽しみながら。
彼らは『肝っ玉』を見ることを通して、さまざまなものと出会っているのではないでしょうか。自分について、時代について、社会について、家族について、自由について。
さまざまなことを、『肝っ玉』を媒体にして客席と舞台とが対話しているような気がしてなりません。
その対話こそが、若い人たちに芝居をみせる、一緒につくることの悦びなのではないでしょうか。旅はようやく後半へ入ったばかりです。
11月17日から21日までの5日間。
生徒数が毎日変化していく中、幕が開くと生徒たちの熱心な観劇の雰囲気に思わずグッと力が入ってしまう、そんな公演であった。
今週は17日に鹿児島県甲陵高校、20日に福岡県八幡市民会館で折尾愛真高校、21日に佐賀県の嬉野高校の3公演でした。どの生徒も熱心に観劇しているという印象を強く感じました、これは学校側関係者方々が、その場に我々役者、スタッフと共に一緒にその場の雰囲気をつくっている。皆がこの舞台のことにとても集中しているのでそう感じたのだと思います。
今回アイリフを演じている中で個人的にも満足感を得ることができているのは皆さんと意識的なつながりを共有することができているからだと思います。
先週の寒波から一転、穏やかな暖かさの土地へと旅班は行きます。
演劇というと劇場の中の舞台で演じられる物と思われがちですが学校公演となるとそうは行きません。
大概の劇場は、暗転が効き(真っ暗になる)、防音設備があり(外の音が聞こえない)日常空間から隔絶されていますが、学校公演では体育館に劇場空間を創り上げます。舞台のセットを組むことはもちろんですが、照明のバトンを仮設し、一切の自然光が入らない状態を作り、体育館を劇場に作り変えるのです。
もともと運動をするために造られている建物ですから様々な問題はあります。夏は暑く、冬は寒い。太陽光を取り入れるために壁面全てが窓だったり、天窓があったりetc・・・
では、何故体育館で公演をするのか?
それは、普段慣れ親しんでいる空間が別な物に変化する驚きを感じてもらいたいこともありますが、演劇をもっと身近な物として感じてもらいたい、自分たちの学校生活の中で「学校で」本物の演劇を見る事は代えがたい思い出になるのではないか。と考えます。
体育館での公演、劇場での公演、それぞれ良いところはあります。その一瞬一瞬を大切にし、Touch班は次の地へ。
9月30日から始まった『肝っ玉おっ母とその子どもたち』の九州ツアーも5週目を迎え、ついに後半戦に入りました。
今週は福岡→熊本→佐賀→熊本で5つの学校で公演を行いました。
舞台から見る彼らの顔は笑顔や涙、疑問や反感と様々な表情が舞台と共に移り変わっていき、カーテンコールの頃にはすでに出会った時とは違った顔をしている気がしました。
日々、出会っていく様々な土地の生徒たちに自分たちの挑戦している演劇をぶつけていく。それは新しい発見や出会い、驚きが彼らの中に何かを起こす場として、僕たちも一緒になって作り続けていくことだと思います。
一つ一つの公演で出会ってきた生徒の皆さんからもらう元気が、次の出会いに向かう一歩を踏み出すための背中を押してくれている。
町から町へ、かけがえのない一期一会の出会いを大切に、風の九州ツアーを走り続けていきたいと思います。
2008年秋「Touch~孤独から愛へ」の東・西日本の旅が始まった。
今回、兄のトリートが佐野から緒方になり、新しい兄弟の新しい「Touch」での出発だ。
今旅の第一週目は
東京・文京区の公演から始まり秋田→新潟→東京→山形と東日本をぐるりと回った。
一回一回の公演が新鮮で、毎回客席と共に新しく「Touch」という芝居が創られる感じがした。
客席もピーンと静かで、真剣に観ているという印象が強かった。
公演後の感想で、「カーテンコールで礼をして顔を上げた時の3人の笑顔が目に焼きついている。」
というのが、印象的だった。
彼、彼女たちの感性と眼差しと私たち風とが、ぶつかり、交じりあうことで、新たな発見や驚きが起こる。その瞬間を大切にしてほしいし、私たちも大事にしたい。
ひとつひとつの公演をしっかりとやり抜き、彼、彼女らと出会っていこうと思う。
劇団に入ってから経験すること全てが初体験の連続なんです。そして、僕にとってTouchの初旅が始まりました。
学校公演の旅に初めて参加した時の熱い気持ちが様々な場面で蘇ります。この情熱を忘れることなく、如何にして合理的に動いて旅を盛り上げていけばいいか?ひとつひとつ、毎日溢れてくるまとまらない気持ちをどうしたら子どもたちに届けることができるのか。
日々、模索しています。
秋田自動車道から見える景色がとても美しかったです。断崖絶壁に紅葉した木々たち。この自然が造り出した美しさに対して、はたして僕らの造り上げる舞台装置は立ち向かうことができるのだろうか。
一期一会をかみしめながら丁寧にひとつひとつ手渡ししていける。演劇の可能性を信じています。
『肝っ玉』の旅3週目です。二年前の初の『肝っ玉』旅公演から三度目の旅、再び九州へ。
今週は出水工業高校から始まり、八幡工業、熊本北、築上西、熊本の東稜高校で公演をしました。
毎日公演が続いていますが、一回の公演で出会う人たち、起こる出来事をかけがえのないものと感じています。
「私たちは平和の中で生きているけれど、本当に肝っ玉たちのように精一杯生きているだろうか?」
というような問いの言葉を今回の旅で何回か聞きました。
日常とは異質な空間で自分たちに問いかけ、自分の身の回りの大切な存在や、大切な何かを見つけたいという気持ちに出会っているのだと思います。
一日の出会いが若い人たちの心に生き続けることを願って、肝っ玉と子供たちが一緒に生きていた頃の幸福な時や、戦争の時代の中で生き抜いた一瞬一瞬を創り
出したいと思っています。
肝っ玉の車は休むことなく4週目へ走って行きます!
今年もこの季節が来ましたね。
東京演劇集団風、九州ツアー!!
いやー、もう4週目ですって?早い早い。
怒涛のように九州中を駆け巡り、芝居をしています。
普通では考えられないようなハードスケジュールです。
倒れてしまっても不思議じゃありません。
…しかし!
生徒のみなさん、先生方、地域の方々から、たくさん元気をもらっています!だから続けられるんですねー。
ありがとうございます!
なので、一回一回の公演、僕がもらうだけじゃなく、皆さんの元気につながるような舞台をしたいと思っております。
4週目は熊本は菊池高校から始まり、福岡の精華女子高校、朝羽高校と朝倉高校、佐賀の厳木高校、舞鶴高校、佐賀清和中学・高校、城北高校と、計9校に向けての公演でした。各学校ごとにいろんな反応があり、触れ合いがあり、たくさんの思い出ができました。
生徒のみなさん、「肝っ玉」、どうですか?
楽しんでいただけていますか?
それぞれの感想、反応があると思います。
これが、みなさんが文化や芸術と触れる一助になればと願っています。
少し、僕の持論を。
芸術というのは依存性がありません。
ということは、残念ながら麻薬や携帯電話のように楽に楽しみを享受できないんです。
難解だったり、つまらない瞬間もあると思います。
僕らの身の回りには依存物資が溢れています。
一時、そこから少し離れて人間と触れることのできる、演劇というものを皆さんの生活の中にもっともっと取り入れてほしいなーと思っています。
さーて、来週からもまだまだあるぞー。
頑張るぞーい!
皆さん、待っててねー!
9月2日から始まった参加型の公演も、今週で無事千秋楽を迎えました。
お世話になったみなさん、本当にありがとうございました。
今週は、岩手県の宮古市・盛岡市、そして秋田県の横手市・東成瀬村と公演をしました。
王子役の白根有子と、キツネ役の工藤順子は秋田県の出身です。劇団員も全国から来ていますので、こうやって自分の故郷の近くで公演できるのは大変嬉しいことです。
今週の学校も生徒さんの参加は大変盛り上がりました。今日のこの日の本番に向けて、きっとわくわく・ドキドキしながら練習をして来たのだと思います。先生方のご指導の苦労も大変だったことと思いますが、終演後の先生方の歓びの顔や、子どもたちのやりきった姿を感じると心から感激します。
岩手の養護学校での『星の王子さま』公演は、開演前にバックステージの見学がありました。舞台上の王子さまの星に登って、歌をうたったり飛び跳ねたりと、みんな元気な笑い声が体育館に響きました。当日はとてもいい天気だったので、ベッドで介護されている子どもたちも駆けつけてくれ、最後まで芝居を楽しんでくれたようです。100人ちょっとという、この旅一番の小人数ながらも、最後の全校合唱は心にひびく、印象深いものでした。終演後もバスが出るまで見送ってくれた子どもや、四つ葉のクローバーを探して王子さまにプレゼントしてくれた男の子、どうもありがとう!
またみなさんといつの日か会えるのを楽しみにします。
『肝っ玉』12月までの長いツアーが始まった。
2年前、初めての『肝っ玉』ツアーが出た時のことを思い出しました、衝撃や喜び、驚きといろいろなことの連続でした。
ツアーはまだ始まったばかりですが言葉1つ1つに反応する彼ら、彼女らをを感じ、そして彼らの鋭い感受性を体で受け、自分たちも『肝っ玉』を再発見しています。
それは本番、その場でしか発見できないのもではないでしょうか。
今回もどんなことが起きるのか楽しみです。だけど少し怖い気もします、しかし今のこの感覚を忘れずに、若い彼ら、彼女らの感受性、自分たちの感受性を信じて、新たなメンバーの『肝っ玉』が、若い観客たちとどんな交流が生まれるのか、1ステージ1ステージ向き合っていきたいと思います。
『星の王子さま』は1989年に初演以来全国各地で上演し続けている、風の作品の中でも最も長く上演されている作品です。
北海道での公演は14,5年ぶりになります。
そして文化庁の参加型の公演は今の〈本物の舞台芸術体験事業〉ではなく、当時は〈舞台芸術ふれあい教室〉という名目でした。最近は小学校での公演が非常に多いのですが、当時は中学、高校での公演でした。
芝居を見ようとする行為が生まれてくること、その中で参加してくることの何を私たちは見ていくのか、試行錯誤しながら公演していた頃を思い出しました。
生徒一人一人が様々な状況、状態にある中でやられたことの結果だけ見るのではない、やろうとしたことの何を受け取っていくのか。20年近く経った今でも、必ずそのことは問い返されます。
時代の中で失くなっていくもの、落ちこぼれてしまった人の思いや願いを救うように、サン-テグジュペリのまなざしがあります。
芝居を見ながら「なぜ?」「どうして?」と問いかけが交錯する中で、王子とともに精一杯歌う子どもたち。
参加型というこの公演で、一人一人の小さな願い、その断片に触れてゆきたいと思いつつ、私たちの旅は続きます。
今年も文化庁“本物の舞台芸術体験事業”『星の王子さま』の旅が始まりました。今秋の公演地は北海道、そして東北。東京・レパートリーシアターKAZEでの夏の連続公演、創立20周年記念公演をしめくくる『アポカリプティカ』の始まりを待たずに出発した旅でした。東京の拠点劇場で様々な試みを繰り返すなか、その基盤となり、相互的な風の原動力となっているのがこの旅公演–小・中・高校生のための全国順延公演なのだと改めて考え出発した旅でした。風の旅公演は1988年5月に始まった『ハムレット』から約20年の間、全国各地の小・中・高校生との出会いを重ねてきました。『星の王子さま』は1989年に初演されました。
この『星の王子さま』の公演を繰り返すたびに、いつも私にのしかかってくるのは「目に見えない大切なもの」とは何か、というテーマです。このサン=テグジュペリのメッセージを、自分の身体を通して演じ、子どもたちと向かい合う時には「このままでいいのだろうか」という不安に駆られます。創立20年の風の歴史は、劇団員一人一人が“目に見えないもの”に出会い、考え続けた歴史であるようにも思います。とかく自分自身がどのように生きていくかということの不安に駆られ、子どもたちの成長や未来など考えられない状況のなかで押しつぶされている私たち大人の心に、サン=テグジュペリの言葉は、大切なものを見失わないようにと問いかけます。だからこそ各地で、子どもたちへの想いを大切にする人たちに出会い、公演を通して共通の願いに出会うことができるのだと思います。
『星の王子さま』の公演は、初日を北海道・中標津町で迎え、ここから約1か月の順延公演が始まりました。目に見えないものは考えたらきりがないけれど、学校、先生、教育委員会の方たちなど、ひとりひとりの目には見えない想いもくみ取っていけるような旅でありたいと願うばかりです。