旅公演日記
旅公演日記2005夏
ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち~
>作:松兼 功●演出:浅野佳成/関西、中国、四国地方ほか
<キャスト> | |
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ヘレン・ケラー: | 白根有子 |
アニー・サリバン: | 柴崎美納 |
アーサー・ケラー: | 坂牧明 |
ケート・ケラー: | 木村奈津子/保角淳子 |
アナグノス: | 柳瀬太一 |
ジェイムス・ケラー: | 栗山友彦 |
ビニー: | 清水菜穂子 |
パーシー: | 稲葉礼恵 |
星の王子さま Le Petit Prince
作:サン=テグジュペリ●演出:浅野佳成/関東、東北、甲信越地方
<キャスト> | |
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王子: | 東珠実 |
飛行士: | 緒方一則 |
ヘビ: | 酒井宗親 |
キツネ: | 工藤順子 |
花: | 仲村三千代 |
星の住人たち: | 久保雅信 |
京都から、兵庫、大阪、そしてふたたび京都へ。『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』2005春のツアーは中国地方から関西、四国へと公演は続く。
盲・聾・唖の三重苦と呼ばれる障害をもったヘレン・ケラーの物語は、しばしば「人権学習」として取り上げられる。今旅もその一環としての芸術鑑賞会がいくつかあった。
公演後行われる座談会で、また体育館で生徒さんたちと話をするとき(座談会には主にヘレン役の私と、アニー役の柴崎と2人で参加するのですが)、アニー・サリバンを演じる柴崎がよくこんな話をすることがある。
「ヘレン・ケラーのことは、一般的には“見えない、聞こえない、しゃべれない三重苦”と「…ない」と語られる。でもそうじゃない。「手で見る」という言葉がある。触るということを通して、ヘレンは様々なものを自分なりに認識していたんじゃないかな。前に、障害を持った人が書いた本が、ベストセラーになったことがある。その本は「ぼくは障害を持っていていろいろ不自由だけど、友達がいて、助けてくれる人たちがいる。健常の人たちはどうしちゃったの?あまり幸せじゃないんじゃない?」という本。障害を持っている、持っていないに関わらず、ひとは様々なものを抱えて生きているんだよね。」
だからこそ、いまこの作品を通して、様々なことを抱えている生徒さん、先生たちと“ひびき合う”地点を見つけていきたい。
★写真は体育館撤去を手伝う生徒さんたちと。(6月13日 高知農業高校)
5月末。星の王子さまに続き「ヘレン・ケラー」も東京レパートリーシアターKAZEを出発し、初日となる島根県・邑智高校へ。すでに初夏ともいうべき暑さにドキッとしながら、島根県では翌日 江の川高校、そして京都府・東山高校と公演は続く。
初日、邑智郡美郷町の小・中学生、町の人たちを招待しての邑智高校体育館で、小学生たちの明るい笑い声に激励されて2005年春の旅がスタートした。
「ぼくが、教師になろうと思ったときの原点を見たような気がします。」と座談会で話してくれたのは江の川高校の先生。生徒数人が参加してくれた座談会で少し照れながら話す先生の目がきらきらしてとても素敵でした。
「私はヘレンと心を通じ合わせたい、笑顔も、涙も一緒に分かち合いたい。…」若干20歳のアニー・サリバンの初めての生徒ヘレンに対する願いは、「教師になろう」と思ったときの先生たちの願いに近かったのかも知れない。「芝居が始まる前には、ここ(座談会)に自分が来るなんて思ってなかったんですよ。」と語る先生の姿を思い出しながら、どんなことでもやろうと思ったときにある「原点」と、そこに絶えず立ち戻って自分を見つめなおす事の難しさを思いました。
(写真は、江の川高校 終演後)
今年も5月下旬から「星の王子さま」「ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち」2つの旅公演が始まりました。
この2005年春のツアーは、「星の王子さま」は主に、関東・東北・甲信越地方、「ヘレン・ケラー」は関西・中国・四国地方を巡演し、新たな、学校との、先生との、そして何よりこれから会う何千人という生徒さんたちとの「出会いの場」をつくるべく向かう春のツアーです。
ホームページ システムの不都合により最初の書き込みが消えてしまったこと、また、この“旅日記”を楽しみにしていてくれた方々に、書き込みが遅れてしまったことを深くお詫びします。
今年の春も“風の掲示板”には公演を見てくれた生徒さんたちからたくさんの書き込みを頂きました。そちらも是非ご覧下さい。また今後の2つの旅からの報告を楽しみにお待ち下さい。