旅公演日記
旅公演日記2003冬
星の王子さま Le Petit Prince
九州、沖縄、中国、中部、北陸地方
<キャスト> | |
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王子: | 東珠実 |
飛行士: | 緒方一則 |
ヘビ: | 酒井宗親 |
キツネ: | 工藤順子 |
花: | 柴崎美納/仲村三千代 |
星の住人たち: | 加藤泰斗 栗山友彦 |
ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち~
関東地方
<キャスト> | |
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ヘレン・ケラー: | 白根有子 |
アニー・サリバン: | 柴崎美納 |
アーサー・ケラー: | 酒井宗親 |
ケート・ケラー: | 斎藤清美 |
アナグノス: | 柳瀬太一 |
ジェイムス・ケラー: | 栗山友彦 |
ビニー: | 清水菜穂子 |
パーシー: | 稲葉礼恵 |
医者: | 加藤泰斗 |
2月6日から始まり、初のレパートリーシアターKAZEでの学校公演も行なった『ヘレン・ケラー』の冬の公演も3月14日をもって最終日となりました。
★3月13日は東京都の杉並公会堂にて、阿佐ヶ谷中学校の公演でした。公演中は生徒さんたちがとても静かで、終了後も皆で「どんなふうに観たのだろう。」と話をしたのですが、公演終了後担当をしてくださった先生は「うちの学校には障害者クラスがあるのですが、その子達が公演を観てヘレンのまねをして遊んでいました。とてもよかったです。」と話してくださいました。一瞬一瞬の時間の中に、生徒さんや先生が何を見つけてくれるのか。私たちも気が付かずにいるたくさんのことが舞台との間で起こっている事が感じられる公演となりました。
★翌3月14日は埼玉県・東松山市の松山高校の公演。この公演をもって、今回のヘレン・ケラーの旅は千秋楽を迎えました。松山高校は男子校で、開演前からなかなか元気な学校でした。芝居が進行するにつれてそれぞれの生徒さんの観かたが加わってきて、カーテンコールでもいい拍手をいただきました。終演後には松山高校演劇部の皆さんが撤去作業を手伝ってくれました。そして、演劇部の皆さんからは《風の掲示板》にも感想を書き込みしていただいています。
写真は、松山高校公演終了後、撤去作業を手伝ってくれている演劇部の皆さんと、今回のツアー舞台監督の山根大。
3月19日(木)山口県の奈古高校の公演で、1月9日から約2ヶ月間続いた文化庁“本物の舞台芸術体験事業”『星の王子さま』が千秋楽を迎えました。今回の公演は、北は雪まだ深い北陸地方から、沖縄の公演まで、様々な出会いと発見の旅となりました。
今回の公演を成功させるために力を尽くしてくださった学校の皆さん、そして教育委員会の皆さんなど本当にお疲れさまでした。そして、大変お世話になりありがとうございました。この公演を通して、また新しい機会が作られ、文化庁主催の行事として、生徒さん1人ひとりにとって良いきっかけになってくれたら嬉しく思います。
今回の公演でも、風ホームページにはたくさんの感想をいただきました。また、公演に関することではなくても、なにかの機会に思い出し気軽にやりとりができていったら嬉しいですね。また皆さんと会える機会を楽しみにしています。ありがとうございました。
続けて19日、熊毛郡から阿武郡へ移動し奈古高校での公演。今回の公演が3ヶ月あまり続いた『星の王子さま』の公演の千秋楽となりました。
奈古高校の公演では、奈古高校の分校須佐分校(33名)の生徒さんが参加。『僕の旅は続く』そして『光と影』を合唱で参加してくれました。また、今回も人数は少なかったのですが吹奏楽部が参加して演奏してくれました。そして今回最終日にして初となったのは、呑み助役を女生徒が演じました。呑み助を演じてくれた小茅さんは、その日のリハーサル前10:00頃からずっと舞台を見学し、呑み助役のためには自分で書いたデッサンとお父さんに借りた背広を持参。緊張気味ではありましたが、リハーサルも本番もなかなかどうどうと演じてくれました。公演後の撤去作業には本番参加した生徒さんが手伝ってくれました。皆さんありがとうございました!
★写真は、呑み助役で参加してくれた小茅さん。本番前のリハーサルの様子。
翌18日は、熊毛郡にある熊毛北高校へ。熊毛北高校は吹奏楽部の『僕は行く』『光と影』の演奏と先生の参加がありました。吹奏楽部は3年生が卒業して人数が少ないながら一生懸命本番のために練習して頑張ってくれました。開演前は校長先生が「自分の目でみて、床からも響いてくるものがあるかもしれません。様々なことをこの公演から感じてください。」という言葉で開演。出演した呑み助役、地理学者役の先生は、リハーサルを終えて本番生徒さんたちのために、そして先生自身も楽しんで演じてくださいました。終わった後先生からは「いい体験をさせてもらいました。楽しかった。」と感想をいただきました。皆さんお疲れさまでした!!
★写真は、熊毛北高校吹奏楽部、本番前のリハーサルの様子。
3 月3日の公演後少し時間があいて3月15日、山口県の高校3校の公演のためバスは一路山口へ。山口県は飛行士役の緒方一則の出身地でもあります。山口県での公演で今回、1月9日からはじまった文化庁“本物の舞台芸術体験事業”『星の王子さま』の公演は千秋楽を迎えます。そして、最後3校となった山口県の公演は今回初めての吹奏楽の参加もありました。
3月16日、旅班は山口県玖珂郡へ。翌17日は玖珂郡にある高森高校での公演。高森高校では演劇部による『僕の旅は続く』の参加、そして吹奏楽部による『光と影』『僕はいく』の演奏、そして先生の参加がありました。演劇部の『僕の旅は続く』の参加では、リハーサルで演劇部(男子4名)と劇団員とワークショップが行なわれ、演出の浅野がひとりひとりの身体を見ながら、劇団で行なっているワークショップを元に「やりたいことをやろうとしてやめる。」「肩を開いて人と歩く。」などのワークショップを行ないました。また、吹奏楽部も短期間で指揮の先生と一緒になって頑張って練習してくれました。ラストシーン、王子が星に帰るシーンで呼吸を合わせて演奏する姿は、「参加」しともに空間を作るおもしろさがあらためて感じられました。公演後は、新聞部の取材など盛りだくさんの1日でした。
★写真は、公演撤去終了後手伝ってくれた生徒さんたちとトラックの前での集合写真。
『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』旅班は2月レパートリーシアターでの公演後少し時間があいて3月、再び東京近県での5ステージが行なわれました。公演の期間は少しあいていたものの、役者/スタッフそれぞれのメンバーは『星の王子さま』の旅、東京公演の準備と忙しい中で久しぶりの公演でした。
★3月5日は埼玉県武蔵村山市にて、武蔵村山第5中学校での公演。久しぶりだということもありましたが、緊張感を持った舞台とともに客席も最後までじっと舞台に集中して観てくれました。この日同行していた芸術監督の浅野は舞台を観て「あとは稽古場に何を持ち込み、これからどんな作品を作っていきたいのかが1人ひとりの中に感じられることだ。」「大切なのは“いま、ここで”という感覚だ。」とはなし、これからの公演の課題を提示しました。
★3月7日は目黒区立目黒第9中学校での公演。同行の体育館で行なわれたこの公演、公演の前に担当の大久保先生から風のホームページに書き込みをいただきました。「日程や、場所の問題などが合わず公演にこぎつけるまで大変だったのですが、公演をとても楽しみにしています。」との書き込みでした。私たちもこの書き込みをみて、学校に訪れるのを楽しみにしていました。目黒第9中は、風のトラックが体育館近くまで入らず、2t車に積み替えての搬入・搬出でしたが、前日遅い時間にもかかわらず、先生はじめたくさんの生徒さんがお手伝いしてくださいました。3年生を送る会の中のひとつとして公演され、1・2年生が卒業する3年生のために公演前セレモニーを行なってから本番となりました。体育館いっぱいに組まれた舞台で生徒さんをとても近くに感じながら、記念となる日に今回の公演が作ることができたことを本当に嬉しく感じました。公演後にも大久保先生には『ヘレン・ケラー』の公演の感想と、そこから先生自身がとても身近にある“教育”の問題について書き込みをしてくださいました。先生も本当にお疲れさまでした。
★翌3月8日は神奈川県川崎市の教育文化会館にて、川崎ライオンズクラブ40周年記念行事の一環としての『ヘレン・ケラー』の公演が行なわれました。そもそも創設当時からヘレン・ケラーととてもかかわりが深いというライオンズクラブ。そのこともあって、今回は40周年の記念に川崎市の学校、市の方々にライオンズクラブが主催となって呼びかけて今回の公演が実現しました。公演には、小学生など小さいお子さんから年配の方まで様々な年齢層の人たちが集まってくれました。終演後、会長の中村さんは、「皆さんとても喜んで帰っていきました。ありがとうございました。」と言葉をいただきました。皆さんありがとうございました!!
写真は、目黒第9中学校で小雨の降る中トラックの積み替えを手伝ってくれる生徒さんたち。
沖縄での熱い公演を終えた旅班は、1度また東京へ戻りすぐまた愛知県へ出発。バスの横目に富士山を眺めながら前日2日、愛知県に到着。翌3月3日は愛知県東海市にある緑陽小学校での公演でした。この日はあいにくの雨でしたが、校内からは小学校の生徒さんたちの元気な声が聞こえてきて、さらに参加の歌の練習も聞こえてきて、またまた本番が楽しみになりました。公演前に行なわれたリハーサルでは期待通り、生徒さんたちの力いっぱい歌う歌声が体育館中に響き私達を圧倒してくれました。緑陽小学校は短い練習期間だったにもかかわらず『ぼくは行く』そして『光と影』の歌で参加。芝居中は、その場で起こる事のひとつひとつにとても興味を持って舞台に集中してくれました。先生の参加は呑み助が今旅またまたの女の先生。なかなか貫禄のある演技で舞台を盛り上げてくれました。
公演後、担当の宮沢先生はじめたくさんの先生が、最後バスが去るまでずっと見送りをしてくださいました。ありがとうございました。そして先生もお疲れさまでした!!
写真は、『僕は行く』の歌のリハーサル中の生徒さん。
沖縄最後の公演地となったのは、本島北部の村・国頭(くにがみ)村。隣同士の辺土名小学校と国頭中学校の2校の体育館でそれぞれ上演しました。
辺土名小学校は小さな学校ですが、校庭は生徒さんの育てた花がいっぱい咲いており、朝から大勢の子供たちが外で元気に遊んでいました。
参加のリハーサルでは、演出の浅野が王子の旅の物語について話しました。「皆の学校にも、自分たちで育てた大切な花がありますね。王子にとっても自分が世話をした大切な一輪の花があります。」生徒さんたちは自分の感覚で芝居を見て、立ち上がり、歌っていました。本番では、他の小学校の生徒さんも見ている中、それぞれの王子への思いを出し切って舞台に参加しました。特にラストの飛行士が消えてしまった王子に向かって叫ぶ「おーい、おーい、どこ行っちまったんだよー!」に続いて生徒さんが繰り返す場面は、なかなかの迫力でした。
呑み助役の宮城昭彦先生、地理学者役の山田浩也先生が舞台に登場した時は、生徒さんたち皆大喜びでした。きっと学校でも人気者の先生なんでしょうね!
終演後、楽屋に生徒さんたちが詰め掛け、台本やノート、手のひらやランドセルにまで出演者全員のサインをもらっていました。
翌日の国頭中学校の公演は久しぶりに参加型ではない通常の形で上演しました。カーテンコールでは公開座談会が行われ、「なぜ演劇を始めたんですか?」「苦手な役もありますか?」など時間ぎりぎりまで生徒さんが質問していました。最後に「僕でも風に入れますか?」と聞かれ、飛行士役の緒方が「やる気があれば、ぜひ一緒にやりましょう!」と応えていました。劇団では観客から仲間になった人も実際にいますよ!
沖縄での8ステージの公演を終え、旅班はたくさんの思い出と一緒に東京へ帰りました。山里さんはじめ教育委員会の皆様、ありがとうございました。また近いうちに風の沖縄公演が実現することを願っています。
★写真は辺土名小学校の公演後、楽屋に集まる生徒さんとサインを書く王子役の東珠実、キツネ役の工藤順子
石垣島では公演以外でも面白い出会いがありました。芸術監督の浅野が沖縄に来る前から「石垣島でやっている民謡ショーが、クラウン(道化)の勉強になりそうだ」と話していたので、皆でそのショーを見に行くことになりました。
“島育ち”という民謡グループが毎晩3ステージのショーを見せてくれるバーで、石垣ではけっこう有名な店らしいのです。太鼓や三味線を使った沖縄民謡や、グループのリーダー宮城清彦さんのクラウンの芸を見ることができました。宮城さんの定番の出し物である『世界の願い交通安全の唄』、女性に縁のない不恰好な男の『なんちち節』の他、普段はめったにやらない親子の別れの芸を特別に見せてくれました。宮城さんの舞台に立つ身体と“人のために”という精神の高さに大きな影響を受けました。
そして2月24日の八重山商工高校での『星の王子さま』公演を宮城さんが見に来てくれました。八重山商工高校では生徒さんの参加はありませんでしたが、呑み助を宮良昭夫先生、地理学者を行事の担当としても頑張ってくださった渡辺賢一先生が演じました。
カーテンコールでの生徒さんからのお礼の言葉が印象的でした。「芝居を見ていたら、今の自分は子供の頃のようにサンタクロースを信じる心やたくさんの夢をなくしかけていることに気付きました。大切なことを思い出させてくれたような気がします。」と、その場で感じたことを率直に全身で語ってくれて、語った生徒さん自身がとても輝いて見えました。
この公演を見た宮城さんからも「2時間という長時間の上演に堪えられる舞台に感心しました。」という言葉をいただきました。
3階の体育館での公演、一緒に荷物を運んでくださった先生、生徒の皆さん、おつかれさまでした。
石垣での公演を終えて、旅班は沖縄本島へ向かいました。
★写真は八重山商工高校での公演後、楽屋を訪れた“島育ち”の宮城清彦さんと話す出演者たち。左から2人目が宮城さん。
川平小・中学校の公演後、劇団と石垣市教育委員会の方々との交流会をビアガーデンで行いました。翌日は公演が休みだったし、石垣の郷土料理と泡盛もあったので、思う存分盛り上がりました。
沖縄での休日。グループごとに数日前からどう過ごすかの計画を立てていました。スタッフのメンバーは西表島まで足をのばしたようです。私は出演者や劇団員のメンバーと一緒に“竹富島”に遊びに行きました。竹富島は石垣島からフェリーで10分くらいのところにある小さな島です。
この島の名物になっている水牛車に乗って村の中を見て廻りました。竹富島では島の美観を守るために木造の家に石垣で塀を作るというふうに家の建て方が決まっています。そして竹富島特有の手作り風のユニークなシーサーがどの家にも置かれています。島のすべての人が知り合いというほど人口も少なく、買い物は石垣島まで行かなくてはならないのですが、最近は都会から移り住んでくる若い女性が多いとか・・・。確かにそれくらい魅力のある島です。
島にはレンタ・サイクルがあり、私たちは自転車で星の砂がとれる海岸まで出かけました。にぎやかに遊んでいる私たちを見て、星の砂の拾い方を説明しているお兄さんが「どういう団体ですか?」と訪ねてきました。公演をしにきたことを話すと、「やっぱり!新聞に載っていたので、そうじゃないかと思って」とのこと。石垣島で3ステージの公演をする風の『星の王子さま』が話題になっているのだな~、と嬉しくなりました。
★写真は、水浴びする水牛を観察する劇団員。水牛で案内してくれるガイドさんの話もとてもおもしろかった!とても楽しい休日を過ごしました。
翌日21日は、川平小・中学校での公演。1学年10人以下という小さな学校です。前日の夜の準備の時は、市の教育委員会の方々と、学校の先生方が協力してくださいました。
朝、学校に着くと、小学校低学年の教室から「劇団の人が来た!」と騒いでいる声が聞こえ、それからしばらくすると「行こう~!さあ、行こう!」という大きな歌声が聞こえてきます。元気そうな学校で、本番の参加が楽しみです。
先生方の出演も負けてはいません。地理学者を演じるのは、高良守校長先生。個性あふれる地理学者に劇団員もビックリ!周りの先生方も校長先生の巧みな演技に感心していました。呑み助を演じるのは若い兼松先生。周りでアドバイスする先生方に「演技指導がたくさんいるからたいへんだ~。」と苦笑い。演出の浅野から「とても良かったです。本番も思い切ってやってください。」と2人の先生に声がかかり、リハーサルが順調に終わりました。
さあ、本番開演です。この日も近くの小中学校や幼稚園の方々がたくさん集まり、体育館の中が町全体の公演という雰囲気になりました。
劇団の柳瀬、斉藤、喜多、そしてCDR製作のためのビデオを撮りに東京から向瀬さん、松元さんが公演に駆け付けてくれました。
客席の生徒さんたちは、星の住人たちの滑稽さや王子と花、キツネなどのやり取りを隅々まで見て敏感に反応していました。クライマックスの歌“僕は行く”では生徒さんたちの歌が王子、ヘビと混じり合って会場に響き渡り、感動的な公演でした。
この公演の成功を願い、力を合わせて頑張ってくれた先生方、ありがとうございました。公演後も元気な生徒さんたちが劇団員をつかまえてたくさんおしゃべりしていました。
写真は、カーテンコールで王子さまを囲んで歌う川平小学校のみなさん。
2月19日から24日の5日間は、石垣島に滞在し3回の公演を行いました。11トンのKAZEトラックがフェリーに載らないため、現地で借りた4トントラック2台に道具を積み替えて島に渡りました。
20日の伊原間(いばるま)中学校の公演では、近隣の4校の学校も参加し合同公演になりました。さらに開演前に先生が「隣りの保育園の先生が観に来たいと言っているんですが、子供には難しいですか?」と訊ねてこられて、「ぜひ来てください」と歓迎しました。
3歳くらいの小さな子供から中学生までが一緒に観劇し、出演者たちもそれぞれの眼差しや反応を感じながら客席に語ったり、動きを創り出したりしていました。
伊原間中学校では呑み助・宮城知則先生、地理学者・上原淳先生の出演の他、1幕ラストの歌“僕の旅は続く”を生徒さんが舞台に出てきて一緒に歌い、王子と飛行士の旅を盛り上げました。
また、開演前に行事担当の先生方と10人くらいの生徒さんが、スタッフの仕事を見学したいという希望があり、各セクション専門のスタッフメンバーが対応。舞台監督の山根をはじめ、大道具のスタッフが舞台装置の組み方を説明し、王子の星や砂漠の山の上を一緒に歩きました。生徒さんたちは、舞台裏の仕掛けを興味深く見て回りました。
照明のフェイダーを動かし、夕焼けの空を作らせてもらった生徒さんたちは、「うわー、きれい!」と歓声を上げていました。写真は照明スタッフのチーフ・坂野貢也と、照明で夕焼けの色を作る生徒さんたち
沖縄での最初の公演地・伊良部島では、伊良部高校の公演と佐良浜中学校・伊良部中学校の合同公演が行われました。
伊良部高校に来てまず感じたのは、先生方と生徒さんたちがとても仲が良いこと。先生方も劇団が来たことを楽しんでいる様子だったし、劇団員と生徒さんとの交流をあたたかく見守ってくださいました。
芝居への参加は、星の住人役で先生2人の出演と、2幕の王子が自分の星へ帰る決意をする歌“光と影”で生徒さんたちが舞台に出て一緒に歌う形で行いました。
呑み助を演じてくれた砂川教頭先生は、職員室でお会いした時から朗らかな方でしたが、本番の舞台では一升瓶を持って本当にお酒を飲んでいるのではないかと思われるほどの酔っ払いを熱演してくださいました。(瓶の中身は水だったそうですが・・・)
地理学者を演じた照屋先生はリハーサルでは緊張気味だったものの、本番の舞台では自分の持ち味を生かし、王子の地球への旅をやさしく見送ってくださいました。
終演後には、男子生徒さんたちが楽屋に訪ねてきて、王子役の東と話をしたり、星の住人・うぬぼれやの身振りを真似て見せてくれたり・・・。体育の先生が個人的にと言って感想を伝えに来てくれたのも嬉しい出来事でした。
舞台の撤去が終わるまでトラックの周りに生徒さんたちが集まり、興味深く劇団のメンバーの動きを見ていました。
夕方、翌日公演する佐良浜中学校の体育館に着くと、昨夜宿でお会いした父兄の方々が、公演準備に必要な工事用の足場を組んだり、窓に遮光のための黒ビニールを張ったり、協力してくださいました。
佐良浜中学校の体育館に近くの伊良部中学校の皆さんも招いての合同鑑賞会。違う学校の生徒さんもいるので少し緊張している様子でしたが、呑み助役の下地校長先生と地理学者役の宣保教頭先生には声援がとびました。
2回の公演を見て、演出の浅野が「呑み助はもちろんだけど、地理学者がとてもおもしろい。先生たちが生徒の皆を楽しませてあげようとする姿が伝わってくる。芝居には、誰かのために創るということがとても大事だ」と話していました。
観客のために何をするべきか、その日の客席の眼差しを受け止め創ろうと向かっているたび公演です。
伊良部にもう少しいたいという気持ちはありましたが、フェリーの時間があるので急いで次の目的地へ向かいます。
宮古島で一泊して次は石垣島へ。
★写真は伊良部高校“光と影”のリハーサル
2月16日から3月1日までの約2週間、『星の王子さま』旅班は、沖縄の島々を巡演してきました。
私は沖縄シリーズだけ、スタッフとして旅に加わり、全公演を客席で学校の生徒さんたちと一緒に観てきました。
風が沖縄公演を行うのは、1995年以来8年ぶりで(この時も文化庁主催による『星の王子さま』の公演でした。)いつかまた沖縄で公演したいと願っていた劇団員たちは、出発の数ヶ月前からこの日を楽しみにしていました。
16日の朝、羽田⇒那覇⇒宮古と飛行機を乗り継いで、宮古島の平良港からフェリーで40分、伊良部島の佐良浜港に到着。
沖縄に着いたとたんに半袖のTシャツに着替え、フェリーの甲板に出て海を見ていると、まだ2月だということが信じられません。
港では、県の教育委員会・文化課の課長、山里さんが出迎えてくれました。メンバーは早速1ステージ目の公演を行う伊良部高校へ。学校に着くと、トラックの運行のために一足早く沖縄入りしていた舞台監督の山根と音響の橘川が、早くも日焼けした顔で待っていました。
また日曜日にもかかわらず道具の搬入を手伝ってくれた生徒さんたちの様子からも、のびのびした南国の空気を感じました。
この日は、翌日の公演の準備を済ませて、夜は沖縄の初日祝いをしました。ちょうどその場で、2日目に公演をする中学校の父兄の方々と市の教育委員会の方ともお会いすることができ、三味線に合わせて踊ったりと、沖縄独特の交流が生れました。
写真は伊良部島へ渡るフェリーの甲板で。
新潟、富山での公演を終えいったん東京へ帰った旅班。何人かのメンバーは引き続き2月6日、10日と『ヘレン・ケラー』の公演を行ない、10日の公演の翌日ふたたび『星の王子さま』のため島根県の津和野町へ。2月12日は津和野中学校での公演でした。
津和野中学校のある津和野町は日本の昔ながらの町並みを残し、和紙などでも有名な町です。中学校の周りも稲荷の鳥居が見え、素晴らしい景色でした。津和野中学校では「光と影」「僕は行く」の参加に加え、「僕の旅は続く」は有志の生徒さん9名が参加してくれました。公演の様子や、生徒さんの感想は担当の藤江先生が詳しく掲示板に報告してくれています。それぞれの生徒さんが、それぞれの思いで公演を楽しんでくれたようです。公演後は座談会、そして撤去のお手伝いの場で役者と生徒さんと話が盛り上がりました。その中で、座談会に出てくださった先生が生徒のときに『ヘレン・ケラー』を観たとのこと、懐かしい思いとそれだけ公演を続けてきているんだということを改めて感じました。カーテンコールでは津和野の和紙で作った子鶴人形をプレゼントしていただきました。そして、先生方には津和野のお酒“桃酒”をいただき、こちらもありがたく皆でいただきました!
★写真は、カーテンコールでスタッフ/キャスト皆にいただいた津和野の和紙で作られた“子鶴人形”。
今週最後の公演となったのは、富山県婦負郡の城山中学校でした。前日30日学校に到着すると「お手伝いを」と先生方が待っていてくださいました。城山中学校の体育館は、私たちがこれまで公演して見てきた中でも、なかなか趣のある古い体育館。先生に話を聞くと今回の公演がこの体育館での最後のイベントになるとのことでした。体育館を出たところには取り壊しになる体育館に生徒さんたちからの「ありがとう」のメッセージが貼られていました。城山中学校は今回の旅では初となる生徒さんの呑み助。出演してくれた飯島くんは緊張しながらもなかなかしっかりと演じきってくれました。(もちろん呑み助の体験はないのですが・・・。)公演後図書室で行なわれた座談会には、飯島君はじめ何人かの生徒さんが集まってくれました。舞台で見た王子さまが目の前にいるということで、少し緊張気味に質問をする生徒さんたち。自分達も参加してつくった公演を楽しんでくれたようです。城山中学校からは公演後たくさんの感想を“風の掲示板” に書き込みいただきました!出演した飯島君は「舞台に立つ楽しさや、喜びを味わうことができました。」と感想を書き込んでくれています!!皆さんありがとうございました。
★写真は、今旅初となった生徒さんの呑み助、飯島哲也君。
28日新津市を後にした旅班は、新潟県の海沿いの町、上越市にある潮陵中学校へ。潮陵中学校は生徒数約80名、それに近隣の小学校谷浜小学校、桑取小学校をあわせた、客席約200名の公演でした。平成元年に、谷浜中学校、桑取中学校が合併してできた潮陵中学校は校舎もまだ新しく、生徒数も少ないため体育館と教室(各学年1クラス)が同じ階の近くにあって、体育館が変化していく様子を覗きに来る生徒さんも。体育館のステージを使わずにフロア―に組み上げる舞台にびっくりしていたようです。29日本番当日は雪で体育館全体がかなり冷えて寒かったのですが、小学生も中学生も最初から最後までよく芝居を見てくれました。クライマックスでは「光と影」を合唱。雪の寒さも吹き飛ぶようなあたたかい公演となりました。公演後は生徒さん達が搬出・撤去作業をお手伝いしてくれました。また、先生も前日の仕込みから最後私たちが出発するまで、ずっと協力してくださいました。ありがとうございました!!
この日は全国的な大雪となり、翌30日富山県氷見市の西條中学校での公演のため移動する旅班は、到着できるかと心配しましたが、なんとか大雪の中氷見市に到着。遅い時間にもかかわらず、西條中学校では校長先生はじめ教頭先生、担当の扇谷先生が私たちの到着を待っていてくださいました。西條中学校は先生の出演、3年生の「僕の旅は続く」、そして全校生徒で歌う「光と影」「僕は行く」の歌と、たっぷり参加してくれました。開演前校長先生が、今回の公演について「“本物”を体験してください。」と話されました。学校一丸となって今回の参加型公演に向かう姿がとても嬉しく感じられました。生徒さんの合唱もすごい迫力、私たちのほうが圧倒されました!公演後生徒さんから書き込みを頂いています。生徒さんにとっても思い出に残る一日となったようで、嬉しく書き込みを読ませてもらいました。(ぜひ、風の掲示板も覗いてみてください!)
★写真は、西條中学校での公演後の座談会。王子役の東を囲む生徒会の生徒さんたちと。
27日の公演終了後、旅班は同じ新潟県内の新津市にある新津第一中学校へ。新津第一中学校では参加が多いことと、時間がとることが出来たため、1月21日に全校生徒とともにワークショップを行ないました。最初は照れがあった生徒さんたちが、ワークショップが終了する頃には思いっきり歌ってくれました。そして1週間後の28日、いよいよ本番の日となりました。リハーサル、本番と私たちがとても強く感じたのは、先生と生徒さんたちが一緒になってこの公演を盛り上げようと頑張っていたことでした。呑み助役の先生が体調を崩されたために、急遽代役を立てようということになったのですが、本番の日、学校に先生から「這ってでも行きます。」との連絡。せっかくだからと呑み助役をふたりで演じることになりました。ふたりの息ぴったりの演技は、大いに会場を沸かせてくれました!また、リハーサルで歌えていた「僕の旅は続く」の歌が、本番入るきっかけがわからず歌えなかったということがありました。公演終了後のカーテンコールであいさつをしてくれた生徒会長の山口君が「ひとつ練習した歌が歌えませんでした。僕達はまだまだだなあと思いました。」と話してくれました。先生も含めて、もちろん私達も、一緒にリハーサルをして歌が歌えなかったのは残念でした。しかし、山口君が共演者として「まだまだだなあ。」と言ってくれた言葉と最後に生徒さんたちが思いっきり歌ってくれた歌声で、今日この日に一緒につくった舞台のおもしろさを感じさせられたように思います。公演後の座談会、そして体育館の撤去作業にも、生徒会の皆さん、演劇部の皆さん始めたくさんの生徒さんが集まってくれました。座談会の最後をしめくくって生徒会から「新津第一中学校と風とこれからもつながっていきたいと思います。よろしくおねがいします。」と言葉がありました。皆さんおつかれさまでした!!
★写真は、公演終了後、撤去作業を手伝ってくれた生徒さんたちとヘビ役の酒井宗親。
岐阜県での公演を終えて、旅班は新潟県へ。1月27日は新潟県新発田市にある猿橋中学校での公演でした。前日26日の昼ごろ新発田市に到着すると、担当の天城先生を始め、有志で集まってくれたという生徒さんたちが待っていてくれました。生徒さんたちは約1時間ほど搬入作業を手伝ってくれ、その後も何人か残って、興味深そうに少しずつ変わっていく体育館を見ていた姿がとても印象に残っています。公演後あらためて話をする時間はありませんでしたが、自分達も参加してできた舞台をどのように観てくれたでしょうか。猿橋中学校は今回2回目となる女性呑み助の登場でした!リハーサル時の先生のたっての(?)希望で女性らしい呑み助にと本番もスカートで演じてくださった先生。女性ならではの感じが出ていてこちらも楽しませていただきました。また、地理学者では校長先生が演じてくださいました。長年生徒さんの前ではなし、伝えていく作業を繰り返してきた先生の舞台に立つ姿には、貫禄とともに、本当に親身に人に向う姿を学ばされたような気がします。先生、おつかれさまでした!!生徒さんも『光と影』では体育館に響き渡る声で歌ってくれました。公演後、猿橋中学校の生徒さんから、“とってもとっても楽しかったです!!”という書き込みも頂いています。私達もとっても楽しませてもらいました。
★写真は、先生のリハーサルの様子。地理学者を演じてくださった三條校長先生と(左から)王子役の東、舞台監督の山根、演出の浅野。
『ヘレン・ケラー ひびき合うものたち』は、2月から3月にかけて関東地区での公演を行います。7ステージという小さなツアーですが、学校の予餞会(3年生を送る会)での上演、ライオンズクラブ主催の一般公演、そしてレパートリーシアターKAZEでの初めての学校公演と、この時期だからできる面白い公演が組まれています。
2月6日、『ヘレン・ケラー ひびき合うものたち』今年最初の公演は、埼玉県にある“歌舞伎と温泉の町”小鹿野町での公演でした。主催校の小鹿野高校が文化センターで行う予餞会の中での上演。行事担当の先生方と生徒会のメンバーが「3年生に良い思い出を・・・」と数ヶ月前から企画していた公演です。リラックスした雰囲気で、生徒さん一人一人が自由に感じながら観劇していました。
終演後の座談会では、短い時間でしたが内容の濃い話ができました。芝居も人の生き方も“今”しかできないことがあるとアニー・サリバン役の柴崎が語り、話を聞く生徒さんの目が生き生きしていたのがとても印象的でした。
「3年生がとてもよく見てたでしょう」と、担当の茂木先生。先生は公演前に校内で風のホームページを宣伝してくれたとのこと。公演後にさっそく生徒さんから掲示板に書き込みがありました。ありがとうございます!
2月10日、私たちのホームグラウンドであるレパートリーシアターKAZEに、稲城第三中学校の1年生の皆さん(約100人)を迎えての公演がありました。舞台も小劇場に合わせた装置に組み換えました。また通常は舞台袖から登退場するところを、客席の通路を利用した芝居に変えるなど特別な演出もありました。今回の公演は、遠足を兼ねて劇場体験をするという行事で、学校としても初めての試み。生徒さんたちは始め緊張していたようですが、芝居の細かいところまでよく観ていました。ラストシーンでは、ヘレンの触れる水が勢いよく飛び散り、最前列の生徒さんは「こりゃ、すごい!」「特別席だ!」と驚いていました。
校長先生や担当の先生も、生徒さんの観劇の様子を見て、初めての行事が成功したことを喜んでおられました。この公演のことは《風の便り》のページでまた詳しくお伝えします。
この時期、『ヘレン・ケラー ひびき合うものたち』のメンバーは、もう1つの『星の王子さま』の旅公演、東京で新作の稽古、今後の上演企画の仕事などそれぞれの活動をしながら、公演がある時に『ヘレン・ケラー』チームに戻ってくるというペースで芝居に向かっています。一人一人の経験や考えたことが『ヘレン・ケラー』の舞台にどう生かせるか、1回1回のステージの中で挑戦していきたいと思います。
次の公演は3月5日です。
★写真は小鹿野高校の公演後、予餞会実行委員会の皆さんと。
宮崎での公演を終え一旦東京に帰った旅班は、1月22日、5時間半の移動を経て岐阜県馬瀬村へ。この日は到着後体育館で舞台の仕込を行ないました。この馬瀬村での公演から始まり、新潟、富山と雪深い地域での公演が続くこともあってかなり覚悟して出発した旅班。その日は幸い雪には遭いませんでしたが、本番当日は朝から例年にないという雪に見舞われました・・・。
岐阜県馬瀬村は人口約2000人。馬瀬中学校は馬瀬村唯一の中学校で、本番には近隣の小学校2校も『星の王子さま』を観るためにやってきました。「3学年あわせて3クラス。学年が上がる時にクラス変えのないうちの学校の生徒は馬瀬村の小学校2校からこの中学校に来るという事だけが唯一知らない顔と会う機会です。田舎の子供たちで、都会的なことはほとんど知りませんが、気のいい子達ですよ。」と、3年生だけが歌う「僕の旅は続く」のリハーサルを見ながら教頭先生が話てくれた。3年間、同じ仲間とともに過ごした時間は生徒さんだけでなく、先生にとっても手放したくない時間になっているようだ。
そして当日、朝から降り続いた雪の寒さにもかかわらず、中学生、小学生とも本当によく芝居を見てくれた。公演後、生徒さんの前で教頭先生が「小学生も中学生も一緒にこのお芝居を見たということ、貴重な時間を大切にしてほしい。」と話してくれた。私たちも、雪の体育館とともに忘れられないひとつひとつの公演を大切にしていきたい。
この日東京へ帰る予定だった旅班は、雪のため帰京を断念。ゆっくり馬瀬村の温泉へ浸かって温まりました♪
★写真は、「僕の旅は続く」を歌ってくれた3年生と、座談会後3年生のクラスで。
翌1月15日は勝岡小学校での公演。前日舞台の仕込みに訪れた私たちを、担当の野口先生と福山教頭先生が待っていてくださいました。本番の打ち合わせのため野口先生とお話していると「私たちもとても楽しみにしていたんです。私たちにできることは少ないですが、何でも言ってください!!」と力強い声をかけていただきました。この日旅班は夜遅くまでの仕込みとなりましたが、先生の言葉と、本番フルコースの生徒さんの参加を楽しみにしながら15日の本番に備えました。そして当日、この日は朝から全校の生徒さんの歌のリハーサル、先生のリハーサル、そして6年生の「僕の旅は続く」の歌のリハーサルが行なわれました。今回の公演ではいままでの公演の中でも珍しい、呑み助役を女の先生が演じられました!そして地理学者では校長先生が味のある演技をみせてくださいました。全校リハーサルでは、今旅ずっと旅に同行している芸術監督の浅野が「歌をうまく歌おうと思わず、君たちの感性で王子に語りかけてください。歌がうまくないと思う人は“勇気”“希望”という言葉だけでも大きな声で言おう!」と声をかけると本番も生徒さん1人ひとりが自分の感覚で見て、立って、言葉をかけようとする様子が伝わってきて、舞台と客席がなかなかの迫力に包まれていきました。カーテンコールではキャストとスタッフに中学年の生徒さんたちが手作りのレイをプレゼントしてくれ、キャストが退場する時には「光と影」の歌声がいっそう増して、長い1日を終えました。最後まで残ってくださった教頭先生、校長先生はじめ先生方ありがとうございました!生徒のために成功させたいと思う気持ちと頑張りが今回のひとつの公演をつくったと実感させられました。本当におつかれさまでした。
★写真は、今回初の女性呑み助里岡先生。九州の焼酎「霧島」を持って登場!
旅班は2日間の休日をはさんで13日、公演の準備のため同じ延岡市内にある岡富小学校体育館へ。14日は生徒数約350人の岡富小学校での公演。岡富小学校では今回の旅で初となる6年生の「僕の旅は続く」の参加があり、午前中は6年生と先生の参加(呑み助・地理学者)のリハーサルを行ないました。本番は少々緊張気味で出番を待つ6年生の生徒さんたち。しかし舞台にみんなで出ると、リハーサルよりもしっかりと大きな声で歌ってくれました。小学校生活最後の年の思い出に、6年生が思いきって歌った「僕の旅は続く」の歌は、私たち舞台をつくる者だけでなく先生達にとっても良い思い出となったようです。今回の公演では急遽、午前中に舞台を見学にきた2年生の生徒さんたちとワークショップが行なわれ、飛行士の後に続いて言う「おーい、おーい、どこ行っちまったんだよー。」という台詞で参加することになりました。2年生の皆さんはワークショップでも、本番でもはりきって参加してくれました!!公演後は短い時間でしたが希望者の生徒さんとの座談会、そして舞台の撤去はバレー部の生徒さんと先生が下校時刻を過ぎているにもかかわらずお手伝いしてくださいました。皆さんありがとうございました!
★写真は6年生が参加した「僕の旅は続く」。
1月10日の午前中は、全員合唱『光と影』のリハーサル、そして飛行士役の緒方一則の『星の王子さま』についての講演会が行なわれました。講演会は短い時間でしたが王子さまの旅、そこで出会う星の住人やヘビやキツネのこと、そして『星の王子さま』が描かれた背景などを簡単に話し、午後の舞台へ期待が高まりました。(緒方はとても緊張したそうですが・・・)今回は全員合唱のほかに先生も星の住人(呑み助役・地理学者役)で登場。生徒さんたちの合唱練習もばっちりでした。14:00開演。芝居の進行とともにある生徒さんの驚きの声や、笑い声が体育館中に響いて楽しみながら芝居を見ているのが伝わってきました。呑み助・地理学者で先生が登場した時はいっそうの盛り上がりを見せ、また王子が星へ帰るところなどは真剣に舞台に見入っていました。カーテンコールは王子と一緒に「光と影」を一生懸命歌ってくれました!!
★写真は午前中に行なわれた飛行士役緒方一則の講演会の様子。舞台で『星の王子さま』について話をする緒方と、じっと集中して講演を聞いていた延岡小の生徒さんたち。
1月7日、旅班は東京レパートリーシアターKAZEを出発して、一路九州・宮崎県へ。この日は大阪までバスで移動し、フェリー泊。翌8日の早朝5時、旅班は九州に到着しました。さらに7時間の移動を経て宮崎県・木城市にある木城小学校へ。今回初めてとなる小学校での公演。到着すると、小学生の生徒さんたちの元気なあいさつにますます期待がふくらんできました。木城小学校はこの日午前中の始業式で、本番で参加する「光と影」の全員合唱を歌ってみたとの事。いよいよ明日本番です。
1月9日本番当日。開演前、生徒さんたちは最後の歌の練習を終えいよいよ本番。開演中は舞台で起こっていることをじっと見つめ、生徒さんたちが王子さまと一緒に旅をしているようでした。今回の稽古場ではさらに『星の王子さま』の中にある身振りというものを探しながら、それぞれの役に向う稽古が行なわれましたが、生徒さんたちの視線が何を見、何に興味を持つのか、そこから始まった“身振り”をもっと見つけていきたいと思うような公演でした。芝居の途中自分達が練習していた「光と影」の音楽が流れると自然と体育館に歌が広がり、王子と一緒に一生懸命歌っている生徒さんたちの姿は生徒参加の公演のおもしろさを改めて私たちに伝えてくれました。公演後は台本を手にした生徒さんたちが楽屋に集まって出演者のサイン会。いつもと違った体育館での出来事を充分楽しんでくれたようです!
この日舞台撤去の後、私たちは10日の公演のため同じ宮崎県にある延岡小学校へ。遅い時間にもかかわらず教頭先生が私たちの到着を待っていてくれました。無事に舞台の仕込を終え翌10日は延岡小学校(生徒数約600人)での公演です。
★写真は公演後生徒さんが歌の練習をした『星の王子さま』の台本にサインする王子役の東珠実と、木城小の生徒さんたち。
レパートリーシアターKAZE 2003年初の公演となる『星の王子さま』は、昨年2002年の文化庁本物の舞台芸術体験事業の追加公演として、急遽1月から3月まで九州から北陸などでの公演が決定し、2月には沖縄での公演も控えています。昨年“レパートリーシアター宣言”を打ち出し、今年2003年から本格的なレパートリーシステムを取り入れた公演として、旅の形態も変化しています。今年から風のメンバー、そしてレパートリーシアターKAZEテクニカルダイレクターとなった山根大を加え、キャストは王子:東珠実、飛行士:緒方一則、ヘビ:酒井宗親、花:柴崎美納、キツネ:工藤順子、星の住人(実業家・地理学者):加藤泰斗、同じく星の住人(うぬぼれ屋):栗山友彦というメンバーです。今の時代、若い観客に対して何を提示していけるのか、私たちのまた新たな旅がスタートしました。
旅の始めとなる宮崎県での公演は、今回旅製作として『星の王子さま』の旅に同行している白根がお伝えします!