旅公演日記
旅公演日記2003秋
星の王子さま Le Petit Prince
作:サン=テグジュペリ●演出:浅野佳成/関東・関西・中国・四国地方ほか
<キャスト> | |
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王子: | 東珠実 |
飛行士: | 緒方一則 |
ヘビ: | 酒井宗親 |
キツネ: | 工藤順子 |
花: | 仲村三千代 |
星の住人たち: | 加藤泰斗 |
ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち~
作:松兼 功●演出:浅野佳成/九州・東北・関西地方
<キャスト> | |
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ヘレン・ケラー: | 白根有子 |
アニー・サリバン: | 柴崎美納 |
アーサー・ケラー: | 坂牧 明 |
ケート・ケラー: | 斎藤清美 |
アナグノス: | 柳瀬太一 |
ジェイムス・ケラー: | 栗山友彦 |
ビニー: | 清水菜穂子 |
パーシー: | 稲葉礼恵 |
鹿児島県加世田高校での公演を終えた旅班は、熊本県へ。熊本県・千原台高校、そして翌日宮崎県・日南学園高校での公演は、11月上旬でもまだまだ熱い体育館公演でした。千原台高校は2Fの体育館。生徒さんたちは公演終了後搬出を手伝ってくれました。なかにはトラックの上乗りをして盛り上げてくれる生徒さんも・・・。そして日南学園高校では名門の野球部が一緒に搬出作業をしました。春全国大会出場を決めた皆さんのパワーとチームワークちゃんと見せてもらいました。
週末は、再び熊本県へ。ここで旅班に演出の浅野が合流。スケジュールの合い間を縫って、藤田省三『精神史的考察』、ジェーン・ハリスン『古代芸術と祭式』を題材としたゼミを行ないました。レパートリーシアターと学校公演、2つの公演がサイクルすることによってつくられてきた風の活動と、まだまだ私たちが見ていかなければならないもの、常に自分達の活動に埋没してしまう私たち自身の問題も指摘されながら、2004年、2005年へと向かう劇団の活動についてもそこで話されました。
週明けて翌週は熊本県・氷川高校、尚絅高校、鹿本商工高校、牛深高校と合同で近隣の5つの中学校で公演。そして週末は宮崎県・高原高校で公演しました。私たちは、残念ながら公演の全体の印象しか報告できませんが、生徒さん1人1人のなかにはたくさんの事が起こっていると思います。11月5日公演の尚絅高校の生徒さんからは「素晴らしい演劇をありがとうございました」と、そして6日鹿本商業高校の生徒さんからは「感動をありがとう」という書き込みをHPの掲示板にいただきました。生徒さんが書いてくれているように、体育館公演は熱い公演でした。その熱さを彼らと共有しながらつくった2時間半の時間は、私たちにとってとても大切な時間です。
そして、ここでヘレンの父アーサー・ケラー役が坂牧明から酒井宗親に、音響オペレーターが内海文雄から橘川順之に変わりました。
★写真は、11月1日日南学園高校、搬出を手伝ってくれた野球部の生徒さんたちと。
熊本・宇土高校での公演を終えた旅班は宮崎県へ。11月後半は、宮崎県・日南市、西都市に始まり、佐賀県・武雄市、福岡県・福岡市、群馬県・菊池郡、長崎県・長崎市、そして鹿児島県で鹿児島市、加世田市で公演しました。九州に入って2週目。宮崎で演出の浅野が旅班に合流し、宮崎県・日南工業高校の公演から、佐賀県・武雄高校の公演まで4公演を見ました。10月レパートリーシアターKAZEを出発して1ヶ月。旅班が各公演の中で何を見てきたか。そしてレパートリーシアターKAZE芸術監督でもある浅野は、若い観客である高校生の前で芝居をつくっていくことの重要性と、それを持ち帰って劇場での上演をどうつくっていくのかということの、旅班への期待と課題を言い渡して帰りました。
日南工業高校の公演は、10月半ばと言えどもまだまだ熱い体育館公演でした。皆さんはどのように見てくれたでしょうか。翌、日南農林高校では、生徒さんがつくったみかんをいただきましたね。皆でおいしくいただきました!妻高校では、終演後座談会をしました。先生含めて皆さんとの話、とても楽しかったです。佐賀県・武雄での公演は武雄高校と佐賀女子高校武雄分校の合同公演。客席からの強い視線で、皆さんが何を見ているのか私たちも考えさせられた公演でした。そして週末熊本県・大津高校は大きなイチョウの木に囲まれた体育館での公演でした。終演後皆さんと話ができる時間があまりありませんでしたが、皆さんそれぞれはどのように見てくれたのでしょうか。週が開けて、長崎女子商業高校での公演は元気な女子高。『ヘレン・ケラー』は2度目の観劇でした。そして翌日鹿児島商業高校は今度は男子校。皆さんの客席からの声を聞きながら私たちもパワーをもらった気がします。(鹿児島商業高校の生徒さんからは、掲示板に書き込みいただきました!)そして、同じく鹿児島県の加世田高校では、終演後たくさんの生徒さんたちにお手伝いいただき、楽しい雑談を交えながら公演を終えました。暗くなるまでお手伝いしてくれたみなさん、ありがとうございました!
★写真は、加世田高校体育館。生徒さんとの搬出の様子。
10月10日、福島県の郡山市で公演を終えた『ヘレン・ケラー』旅班は、一旦東京へ帰って、10月12日、九州へ向けて出発しました。ここから12月19日まで約2ヶ月間九州での公演が始まります。
旅班は2日間フェリーとバスで移動し、九州での初日は鹿児島県・樟南高校で。この週は、鹿児島県から熊本県・本渡市、福岡県・飯塚市、そして週末は、『ヘレン・ケラー』でヘレンの兄ジェイムス・ケラー役を演じている劇団員・栗山友彦の母校、熊本県の宇土高校で上演しました。
それぞれの学校の雰囲気を感じ、そして1人1人がそこで見ているものに少しでも私たち自身出会っていけるたらと思います。公演終了後、よく担当された先生から、「うちの子供たち、よく観ていたでしょう。」と言われます。毎日のように生徒さんと顔を突き合わせている先生が、公演を観ている生徒たちの顔から、また違った時間を生徒たちが過ごしていることを感じてもらえたようです。
週末、栗山の母校・宇土高校では、終演後栗山が後輩達にあいさつをしました。高校卒業後すぐ東京へ出て風へ入団した彼は、後輩達に(少し緊張気味に^^) 「皆さんも、自分のやりたいことに向かって頑張ってください。」とエールを送りました。宇土高校の生徒さんからは、その後掲示板のほうへも書き込みいただいています。そちらもぜひご覧下さい。福岡の嘉穂東高校の体育館公演では、たくさんの生徒さんたちに搬出のお手伝いをいただきました。皆さんありがとうございました!!
★写真は、15日搬入・搬出を手伝ってくれた本渡市・苓明高校の生徒さんたちに、出演者から記念のサイン。
ひと足先に出発した『星の王子さま』旅班を見送り、『ヘレン・ケラー』旅班は9月29日、レパートリーシアターKAZEから京都へ出発しました。10月1日に初日を迎え、京都での公演を終えた後、一度東京へ帰って、秋田、福島での公演を行ないました。
生徒たちと一緒に公演をつくりたいという学校、先生達の想いを受けながら始まった2週間。座談会や体育館での撤去作業の時など、公演後生徒さんや、先生と話をする機会も多くありました。稽古場から、初日旅班に同行した演出の浅野は、生徒1人1人がその瞬間何を見ているのか忘れないこと。そして、「いま、ここで」という一回性の身体を持って舞台に立ち、1回1回彼らの前で試してみることだ。と旅班へ伝えて帰りました。とにかくは、旅班全員で課題を持って、彼らの前に立ってみること。そして彼らと共に考えられる感覚を見つけることと思って始まった2週間でした。
文化祭行事で張り切っている生徒さん、四苦八苦しながらも、新しい生徒会をつくっていこうとしている生徒さんなどと話もできた2週間でした。旅はまだまだ始まったばかりです。
★写真は、福島県・平工業高校の公演後の座談会で生徒会の生徒さんたちと。
9月、東京レパートリーシアターで“ビエンナーレKAZE演劇祭”を終了し、私たちはすぐ10月から始まる『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』、『星の王子さま』2つの作品の稽古のため群馬県のアトリエ月夜野演劇工房へ。限られた時間のなかで、稽古と、そして“ビエンナーレKAZE演劇祭”から始まった、私たちの学校公演への新たな課題について語り合い、2つの作品は10月1日、『ヘレン・ケラー』は京都で、『星の王子さま』は鳥取でお互いに初日を迎えました。
『ヘレン・ケラー』は関西から東北、そして10月中旬からは九州地方で上演、12月19日まで公演を続けます。また、『星の王子さま』は中国、四国、関西、北陸で上演し11月7日まで公演を続けます。今年もたくさんの出会いに期待して、2つの旅がスタートしました。