TOUR
全国巡回公演
東京演劇集団風の舞台を、生徒たちと一緒に鑑賞した中学校の先生が、以下のような力強いメッセージを劇団に寄せてくれました。
「学校教育における演劇の教育的意義は、まだ職員全体に伝わっているとは言い難い。しかし、"風"の演劇を、生徒が真剣な眼差しで前のめりになって観劇する姿に、少なからず心を動かされた教員もいる。演劇には、役割遂行、協働、創造など教育的効果がたくさんあるが、それ以上に、目の前で起こるドラマに反応し、活き活きとした表情を取り戻している生徒の姿にこそ注目していかなければならないと思う
風の演劇は、感情を刺激し、人間としてのあり方を考えさせ、生きることの原点を見つめさせる。人としての根源的な部分に立ち返らせてくれるのである。こうした本物の演劇体験こそ、今の学校に必要なことだと思う。風がその後押しをしてくれていると私は感じている」。
この先生のことばにもあるように、「演劇を観ることの喜び」は、単に上演作品を「理解する」という小さな知識にとどまるのではなく、「自分自身が人間として生きている」ということに気付く瞬間にあると思います。それは、若い観客たちが普段学校で学んでいること、友達や家族、地域の人たちとの付き合いのなかで感じていることが、演劇に触れることで少しだけ拡大され、そこに思いを馳せるときなのではないでしょうか。また、それこそが"本物の演劇体験"なのです。
多くの熱意ある先生方の力添えで、私たちは毎年、日本全国の若い観客たちとの出会いの場をつくっています。学校での公演の場は、ひとりひとりの若い観客にとって、さまざまな出会いに溢れています。公演地を訪れる俳優やスタッフとの出会いはもちろんですが、たとえば、共にひとつの舞台を観た友達が普段とは少し違う一面を見せたことによる、友達との「出会い」。「なぜ先生はこの作品を私たちに見せようとしたのだろう」と考えることでの、先生との「出会い」。そして、自分自身との新たな「出会い」……。
これらの「出会い」の経験は、学校生活のなかでの大きな思い出となり、「この学校に来てよかった!」という、彼ら彼女らの誇りにつながっていくのです。
公演の準備のために、私たちは日本全国の学校を訪れ、数多くの先生方との対話を繰り返しています。今の生徒たちをとりまく社会環境の現状について、そこに向けて演劇が、教育が為すべきことが何であるか、ということを話し合っていくうちに、私たちと先生方との共通点に気付かされることがあります。
それは、演劇または教育を通して感じる喜びとは、目の前の若者が内に秘める未来への可能性に懸ける瞬間にあると言えるのではないか、ということです。だからこそ私たち劇団員は、若い観客の前に立つこと、彼ら彼女らとの「出会い」に、大きな緊張感と、さらに大きな情熱を持っているのです。その情熱が若い可能性と豊かなエネルギーに触れ、共振するとき、「いま、ここにいる」ひとりひとりのなかに大きな感動が湧きあがってくるのだと思います。
一回一回の公演が、彼ら彼女らにとっての貴重な思い出となり、その思い出が大きな夢を育むような場を「自由に風のように」つくりたい、私たちはそう考えています。
■東日本地域 | 5月~7月 | 『ヘレン・ケラー ~ひびき合うものたち』 |
9月~11月 | 『Touch~孤独から愛へ』 | |
■西日本地域 | 5月~7月 | 『Touch~孤独から愛へ』 |
9月~11月 | 『Touch~孤独から愛へ』 | |
■ 九州地域 | 9月~12月 | 『ヘレン・ケラー ~ひびき合うものたち』 『ジャンヌ・ダルクージャンヌと炎』 |
※文化庁“学校における文化芸術鑑賞・体験推進事業―ユニバーサル公演事業”は、2024年5月~2025年1月 『星の王子さま』『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』が全国で巡回公演を行います。
ベルトルト・ブレヒト作 浅野佳成 演出 八幡茂 音楽
ライル・ケスラー作 浅野佳成 演出 八幡茂 音楽
サン=テグジュペリ作 浅野佳成 演出 八幡茂 音楽
W.シェイクスピア作 ペトル・ヴトカレウ/浅野佳成 演出
松兼功 作 浅野佳成 演出 小室等 音楽
マテイ・ヴィスニユック作 浅野佳成 演出