ルーマニアから亡命し、フランスで執筆を続ける現代作家マテイ・ヴィスニユックが、家族の日常と別れをユニークかつグロテスクに描き、〈戦争の歴史〉を痛烈に批判した寓意劇を新たに上演します。
『母が口にした「進歩」……』で母親役を好演した柴崎美納が、男の帰りを待つ三人の女(母、娘、妻)を演じ、物語を運ぶ使者を中村滋が演じます。演出は『ジャンヌ・ダルク』(作マテイ・ヴィスニユック)などで劇団と協働を続けるペトル・ヴトカレウ(モルドバ共和国/国立ウジェーヌ・イヨネスコ劇場 芸術監督)。
彼は「過去の戦争の歴史は、人間に何も教えていない。人間は戦い続け、破壊し続け、殺戮し続けている。私たちは演劇を通じ、この止むことを知らない大量殺戮を直ちに、そして永遠に止めさせるために、人々と語り合っていかなければならない」と話します。
ヴィスニユック作品の詩劇的上演に取り組んできた俳優と、作家の原風景とその豊かさを知る演出家が共に取り組む、劇団創立 30 周年記念企画の新作です。
東京演劇集団風 創立30周年記念 第90回公演[新作]
2017年4月11日[火]~16日[日]
開演:平日7時/土日2時[全席自由]
作:マテイ・ヴィスニユック Matéi Visniec
翻訳:川口覚子
演出:ペトル・ヴトカレウ Petru Vutcãrãu
〈モルドバ共和国/国立ウジェーヌ・イヨネスコ劇場 芸術監督〉
出演:柴崎美納/中村滋
田中賢一/田中悟/石岡和総
繰り返される歴史、繰り返される “ 別れ ” の物語
使者が戦場からの〈死の報せ〉を持って現われるのは、
三つの時代、三人の女たちの待つ部屋。
息子を送り出す母親、父親に尋ねる娘、夫の帰りを待つ妻……
使者は繰り返される戦争の歴史を語りながら、
英雄の陰で死んでいった名もない男たちと
残された家族が繰り返す、悲しくも奇妙な〈別れ〉を物語る。
蛇口からは黒い水が流れ続け、
窓の向こうでは馬たちが凶暴さを増していく ―
芸術監督:浅野佳成
舞台美術:ペトル・ヴトカレウ/ボリス・ゴレア Boris Golea
〈モルドバ共和国/国立ウジェーヌ・イヨネスコ劇場〉
作曲・音楽制作:セルジウ・スクレレア Sergiu Screlea
〈モルドバ共和国/国立ウジェーヌ・イヨネスコ劇場〉
照明:坂野貢也
音響:渡辺雄亮
舞台監督:佐田剛久
舞台監督助手:辻幸男
演出助手:江原早哉香/志賀重仁
後援:在日ルーマニア大使館
会場:レパートリーシアター KAZE
2017 年 4 月11日[火]~16 日[日]
開演:平日 7 時/土日 2 時[全席自由]
入場料:当日 4000 円/前売 3800 円/学生 3300 円